オープンソースのサステナビリティで環境に好影響を

オープンソース サステナビリティ
POC21 用にエネルギーをキャプチャしている SunZilla チームと携帯型太陽光発電機 [提供: Michael Floyd]

今日の世界が直面する膨大な環境問題の数々には、足がすくむように感じる人も多いだろう。だが、そうしたチャレンジに正面から立ち向かおうとするコミュニティも拡大しており、オープンソースの DIY 風力タービンやインターネットにフル接続される温室、プラスチックボトルの水ろ過システムなど、クリエイティブなソリューションが生み出されている。

環境問題は、オープンソースの DIY やハック、問題解決を生み出す格好の材料を提供することにもなる。いまやデザインは、コラボレーションへの招待状だ。新たなクリエイターたちは初心者ではなく、大抵はイノベーションへの新しくオープンなアプローチを採り入れた、熟練したメイカーやデザイナー、エンジニアだ。このグローバルなメイカー コミュニティは、その製品や洞察を共有すべきだと感じており、アイデアを素早く公開して拡散するためなら、そのデザインや核となる知的所有権の放棄もいとわない人々で構成されている。

POC21 会場 ジオデシック ドーム
POC21 会場のジオデシック ドーム [提供: POC21 – Proof of Concept (http://www.poc21.cc/)

パリ郊外にある 16 世紀の城で行われた、POC21 Innovation Camp に集った 100 名のイノベーターたちは、オープンソースのサステナビリティとサステナブルな暮らしのための製品の提案を 5 週間にわたって行った。その究極のゴールは、低炭素社会の循環経済への移行を円滑に行うことにある。このキャンプは、パリで開催される COP21 (国連気候変動枠組条約締結国会議) に呼応したものでもある。政府や大企業の腰が重くても、人々には独自のソリューションを推し進める準備ができおり、その力が備わっていることを示している。

オープンソースのサステナビリティと POC21 で提案されているプロジェクト の例には次のようなものがある

Open Energy Monitor: イギリスのチームが生み出したハードウェア/ソフトウェア モニタリング システムで、コンピューターやタブレット、スマートフォンで電力消費と発電 (および湿度と気温) を計測して視覚化することで、人々が自らのエネルギー消費を、より良く理解するのに役立つ。プロジェクトの設立者たちは、このシステムがより良い判断を行う力を与えるスマートなエネルギーレイヤーを提供するものであり、ゼロカーボンのエネルギー システムへの移行の構成要素のひとつだと考えている。

オープンソース サステナビリティ showerloop
自身の PID (配管系統図) に従って POC21 ファクトリーでコンポーネントの切断や組立を行う Showerloop のジェーソン・セルバラジャン氏。空のガラス製シャワー室が中庭に設置されており、プロトタイプをインストールする準備が整えられている。[提供: Michael Floyd]

Showerloop: この水ろ過システムは、シャワーの水をリアルタイムで浄化してリサイクルする。一般的なシャワーはエネルギー面でも水量面でも負荷が高く、貴重な資源を無駄にしている。このシステムを生み出したフィンランド人クリエイターは、シャワーの水と湯を沸かすためのエネルギーを、これまでの 1/10 まで削減できるようデザインしている。

SunZilla: ベルリンを拠点とした NGO による移動型太陽光発電機で、野外イベント (や遠隔地) で使用されている従来のディーゼル発電機を置き換えるような、信頼性が高く静かで、排出量ゼロのクリーン エネルギーとなるようデザインされている。ユニットは比較的コンパクトなボックスとして運搬可能で、ソーラーパネルが大きく広げられるようになっている。

オートデスクで Making for Impact プログラムを指揮するドーン・ダンビーは「POC21 に参加したクリエイターたちは、彼らのデザインをもとに皆さんがビルドし、さらにそれを向上させていくことを願っています」と述べている。「レシピをダウンロードして、それを改造し、独自のバリエーションをアップロードしていただければと思います。これらのプロジェクトを基盤に、さらにビルドされていけば最高です。クリエイターのイノベーションは、特許の原料になるのでなく、共有されるのです」。

デジタル デザインと製造、コワーキングの熟知、オンラインの過多な情報により、POC21 のメイカーたちはポップアップ式で完全に機能するメイカースペースを設置できるようになった。16 世紀の馬屋内に、CNC ツールやレーザーカッターを揃えた施設内「工場」が作られ、数々のプロジェクト チームで賑わっている姿は、非常に印象的なコントラスト生み出している。城には Autodesk Fusion 360 ソフトウェアを操作する 3D モデリングのエキスパート 2 名が常駐し、チームにデザインのモデリングやそのリファインのトレーニングや支援を提供する。

Courtesy POC21 – Proof of Concept. (http://www.poc21.cc/)
[提供: POC21 – Proof of Concept (http://www.poc21.cc/)]

「この経験自体もコンセプトの証明であり、100 名が共に生活し、連携して何かを生み出せることを実証しつつプロジェクトを加速させています」と、ダンビー。「ハッカソン モデルは、デザインの実際の問題には効果がありません。デザインと反復には時間が必要だからです。5 週間という期間は、プロジェクトのデザインが変容する時間を許容します」。

「POC21 は、自主性とクリエイティビティを讃え、広く認知を図ろうというものです」とダンビーは続ける。「しかし、同時に学びの場でもあります。果敢にも SunZilla システムを自分でビルドしようとするなら、私でも瞬く間に電気系統やオフグリッド発電、金属加工に詳しくなれるでしょう。世界各地の企業家やコミュニティのメンバーとして、こうしスキルを持つ人が多数必要なのです」。

オープンソース サステナビリティ faircap poc21
オープンソース、3D プリント可能なフィルター システム Faircap の初期プロトタイプ [提供: POC21 – Proof of Concept (http://www.poc21.cc/)]

(環境危機が増大する時代に発展を遂げた) メイカー ムーブメントにおけるサステナビリティと影響の例は、世界各地に出現し始めている。まん延する社会的、生態学的ストレスに世界が直面し、これまで以上に気候変動などの問題に対する社会認識が高まっている現在、それは驚きではない。そして物理的なモノの製造手段は、かつてないほど利用しやすくなっている。この 1 年間に、800 を超えるメイカーが、エネルギーサステナビリティエレクトロニクスのアップサイクルの課題に応えて、Instructables にプロジェクトを提出している。受賞したエントリーには、使用済み DVD と時計部品で作られた原子間力顕微鏡の他、DIY による太陽光や風力エネルギー プロジェクトも多数ある。

手頃で誰にも利用しやすいサステナブルな解決策を生み出すことにおいては、熱心なオープンソースと徹底した透過性には、それ固有の価値がある。オープンソースのテクノロジーにより、ユーザーは提供されたソリューションを自由にビルド、改造、改良でき、ユーザーはその作品を再びコミュニティと共有できる。

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30 ドルの風力タービンのプロトタイプ 6 基のうちひとつをワークショップからフィールドへと移動させている様子。このユニットのタービン翼用パーツは、廃品となったアルミ製のオフセット印刷用板から手で切り出すことで作成されている。次のバッチのタービン翼からは CNC ツールを使用して切断される予定だ。[提供: Michael Floyd]

「POC21 のオープンソース プロジェクトは、どれもコード デザインの共有に熱心です」と、ダンビーは続ける。また、ある種の平等主義的思想、開示性を支持し、目新しさを意図的に避ける市民のモチベーションを共有しています。電力使用量を監視するエネルギー モニターは、もちろん購入可能です。では、データの保存が可能なモニターとなるとどうでしょう?」

一部のプロジェクトは、太陽光集光装置や水リサイクル シャワーなど、既存テクノロジーのオープンソース版となっている。これらはすでに市場に出回っているが、POC21 のプロジェクトは誰もが複製可能なものとしてデザインされ、シンプルな説明書とツールが使われている。

優れたアイデアは、最終目標ではなく、始まりでしかない。「優れたアイデアを体現するプロジェクトが、必ずしも強い影響力を持つわけではありません」と、ダンビー。「それが他者に採用され、改良されることで、初めて強いインパクトを持つのです。それがオープンソース ムーブメントの希望です。人々にとってこれは、行為主体性を持ち、サステナブルで低カーボンの循環経済を生み出すことに関与するためのひとつの方法なのです」。

[本記事は 2015 年 9 月に作成されたものを翻訳して掲載しています]

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