ヒットへと漕ぎ出せ: オルカヤック独自の雇用・経営手法

by Anne Bouleanu
- 2013年10月9日
オルカヤック カヤック
オルカヤック

アントン・ウィリス氏は 2012 年、のちに彼自身のビジネス手法と、カヤッキングに対する人々の考え方を変えることとなる Kickstarter キャンペーンをローンチした。

日本の折り紙をヒントに開発された折り畳み式カヤック、「オル (Oru)」の開発者であるウィリス氏は、サンフランシスコの狭いアパートに移り住んだときに、そのアイデアを思い付く。当時、彼は旅から戻るたびにカヤックを倉庫に保管する必要があった。折り紙の技法に関する記事を読んだ氏は、この日本の技巧の原理をカヤッキングに応用できないかと考え始めたのだ。

そして数年にわたる開発と幾つかのプロトタイプを経てオリガミカヤックを完成させた。プラスチックダンボールのシート1枚を材料として使った、重量わずか約 11 kgの 1 人乗りカヤックは、折りたたむと 84 x 74 x 25 cm のケースに収納でき、簡単に持ち運べるので車内や自宅での保管にも便利だ。その後ウィリス氏は資金調達のため、この計画を Kickstarter へ公開する。Kickstarter ならポジティブな反応が得られると思ったのだ。だが、プロジェクトの目標金額への到達に 5 時間しかかからないとは予想できなかった。

オルカヤック
メンドシーノ郡から車無しのワンルーム マンションへ引っ越したことで、ウィリス氏にとってカヤッキングはチャレンジになった [Oru オフィスにて]

Kickstarter でスタートアップ資金の調達に成功してから 1 年と経たない現在、オルカヤックは、いまだ大きな注目を集め、熱い視線を浴びている。これまで数年にわたり、ウィリス氏は完璧なスモールビジネス マーケティング戦略の策定から、才能ある人材を集めた強力なスタッフの確保まで、スモールビジネスの運営を実地で十分学んできた。その氏が Line//Shape//Space のインタビューに応え、Oru での雇用とコラボレーションに関する洞察を提供してくれた。

ゼロからの取り組み
Kickstarter でのキャンペーンをスタートさせるにあたり、ウィリス氏はプロダクト デザイン、セールス マーケティング、カスタマー サービスに至るまで、各分野のエキスパートで信頼の置ける人々と仕事するよう万全の注意を払ったと話す。

氏は現在、ほんの一握りのスタッフ(自身を含めて 4 名のみ)を雇用しているが、これは企業として恣意的な雇用を行わず「オーガニック成長を実現するための意識的な決定」であると話す。

「スタッフは、ベイエリアのメーカー/スタートアップ コミュニティで見つけました」と、ウィリス氏。「財務・経営担当の共同設立者は MBA を修得したばかりで、デザイン系のスタートアップを探しているところでした」。Oru にとって、まさに最高の組み合わせだ。

オルカヤック 組み立て
折り紙のようなオルカヤックの組み立て方法

氏は Oru の最高商業責任者(CCO)にもカヤッキング経験を持つ人材を見つけることに成功し、役職に最適な人材を選択している。

「CCO は元プロ・カヤッカーでテック系スタートアップでの仕事を探していましたが、両分野を組み合わせられる機会を見出したわけです」。

Kickstarter での資金調達以降、Oru は現在まで、外部からの資金援助に頼っておらず、それはプロジェクトの金銭的成功を物語っている。しかし企業が唯一のオンライン イニシアチブを、首尾良く永遠に継続することなど不可能だ。だからこそ「マーケティングやチーム育成に急いで取りかかる前に、一つの製品について徹底的に考え抜く」ことが重要だ、とウィリス氏は話す。

ただし今後は、新製品 (カヤックやアクセサリー) の開発に関わるマーケティングやデザイン分野のスタッフを増員したいと氏は考えている。

オルカヤック
スケッチからプロトタイプまで Autodesk Fusion 360 でデザイン

デート ゲーム
スモールビジネスの経営者なら誰でも心得ており、また一部の経営者はそれを苦労して学ぶことになるが、適切な人材を仕事上のパートナーとして選ぶことは極めて重要だ。ビジネス パートナーやスタッフがビジネスの成功を左右することもある。チームで業務を行っており、今ではスタッフをよく知り信頼しているというウィリス氏も、それぞれの仕事ぶりを知るには多少の時間がかかったと話している。

「少し意外だったのは、一緒に働くスタッフのことを知るには、全員がその気で取り組んだとしても相当の時間がかかるということです。いかにして共同作業を行うか、何が互いを最も幸せにするのかを解き明かすには、どうしてもある程度の時間がかかります。デートに似ているかもしれません。ただこの場合、結婚にこぎ着けるのは本当のデートよりもずっと早くなりますが」。

チームのメンバー同士が互いにうまく機能するかどうかは、組織としての成功にとって非常に重要だ。また企業によっては、それを短時間で実現しなければならない場合もある。財務・経営担当の共同設立者と CCO、チームが本格的なパートナーシップに飛び込む前に、試験的にチームワークでの業務を行うことに決めたのは、そのような理由からだった。

「完全なパートナーシップを結ぶ前に、しばらく仮契約の状態で一緒に仕事をしてみて、互いにうまくやっていけるかどうかテストしたのです」と、ウィリス氏。

オルカヤック マーセド川
ヨセミテ渓谷のマーセド川

このトライアルは良い結果をもたらしたようで、Oru チームは各自のワーク スタイルがうまくバランスを取っているように見える。氏は今後数カ月から数年の間に、人材配置に変化が生まれることを望んでいる。現在、オペレーション マネージャーはオフィスに寝泊まりしている状態で、製品の製造が問題なく開始されるよう懸命に業務に取り組んでいる。すべてがプランどおりに進めば、少しリラックスし、成功を継続させるためのより合理的なマーケティング戦略を行う余裕が持てるようになるだろう。

中核となるパートナーとスタッフとの連携を成功させたウィリス氏は、スモールビジネスにおける雇用に関する最も重要なアドバイスは、先を読み、迅速にチームを構築することだと話す。

「必要だと感じる前に声をかけ始めることです。そうすることで、自分にとって必要な人材をよりはっきり定義することができ、事態が急を要するようになる前に人材確保に取りかかることができます。人材確保やスタッフの準備に十分な時間を持てなくなるという罠に、簡単に陥りがちなんです。少しだけ先行した状態を保つことが常に重要です」

オルカヤック 収納
トランクに収めたオルカヤック

ビジネス・アイデアをお持ちの起業家やデザイナーで、計画を順調にスタートさせるための支援を必要とする方は、雇用についてのヒントが紹介されている「10 Essential Tips for Building Your Small Biz Team」(英語サイト) をチェックしてみよう。

チームをゼロから作り上げた経験をお持ちですか? その成功例や失敗談をぜひコメント欄でシェアしてください。

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