リアル ライフ: Swissomation の精密機械工、クリスチャン・ウェルチ氏の細部へのこだわり

by Rich Thomas
- 2017年4月27日
Images Courtesy Swissomation

製造業においては、少しの差異が大きなインパクトを与えることも多い。10 セント硬貨に載せても小さく見えるような精密部品を製造する精密機械工にとって、細部への目配りは必要不可欠だ。

クリスチャン・ウェルチ氏がオーナー経営者を務める Swissomation は、バージニア州とテキサス州にオフィスを構える精密部品製造の会社だ。彼はこの仕事に 20 年、ウェルチ家はこの業界に 70 年携わってきた。この会社はスイス型 CNC 自動旋盤を使用して超小型部品を製造している。エレクトロニクスから航空宇宙まで、精密部品の製造用途で高い評価を受けるスイス型旋盤は、複雑な小型部品を従来の CNC 旋盤より高速かつ巧みに製造できる。また同時処理を実行し、20 を超えるツールを使用して、より優れた製品を製造可能だ。

A view of some of the tiny parts that Christian Welch and his team machines.
クリスチャン・ウェルチ氏とチームが製造する極小部品のサンプル [提供: Swissomation]

ウェルチ氏のオフィスは自宅の玄関から 30 mのところにあるが、コーヒーを飲みに自宅に戻ることすらほとんどなく、ランチもほぼ毎日デスクで取っているという。「常に遅れをとっているような気がします」と、彼は述べている。2017 年に機械工場を営むのは簡単なことではない。コスト面で魅力のある海外製造の犠牲となり、部品加工の工場が次々と閉鎖されていくのを、氏は毎年目の当たりにしてきた。

そのウェルチ氏が、米国企業のオーナーとしてのプライドと悪銭苦闘について語ってくれた。Apple の iPhone とカスタム ソフトウェアが、彼のビジネス運営手法をどう向上させたのか、そして Swissomation とそのスイス型 CNC 旋盤が、競合他社と比較して優位である理由とは?

どのような業界に部品を供給しているのですか?
ホビー産業やアーチェリー、銃器、軍事関連、歯科産業、RF 通信などの分野です。年間で 12 の見本市に出展しており、あらゆる業界に部品を提供していますね。米国最大規模の携帯電話メーカーにもプロトタイプや部品を提供しています。

 

極小部品の機械工作で最も難しいのは?
ツールの破損も課題ですが、最大の問題は製造後の部品の取り扱いで、それが違いを生む重要なポイントです。同じ機械を使用している工場は他にもありますが、そうした工場が我々と同じものを製造できるわけではありません。その理由は、ほとんどの場合において、製造後の部品をうま上手く取り扱うことができないからです。部品をどうキャッチするのか? 切りくずと分離するには? 切りくずと変わらない大きさの部品を製造する場合にも、部品をうまく取り出す必要があります。そこまでは、考えることすらない人がほとんどでしょう。

スイス型旋盤の価格は?
一般的な旋盤のコストは新品か中古かで異なりますが、新品だと 15 万ドル (約 1,640 万円) から、より複雑なものになると 75 万ドル (約 8,200 万円) になります。

スイスから保守サービス担当者が定期的に訪問するのですか?
いえいえ (笑)、メンテナンスは全て社内で行っています。我々は中古マシンを大量に購入し、組み立て直して工場に必要な機能を追加するので、所有しているマシンのことをよく理解しています。アフターサービス担当者よりも詳しいくらいですよ。この会社を設立して 20 年になりますが、スイス型旋盤のサービス担当がやって来たのは一度だけです。6 台を同時購入した際に製造上の問題が幾つかあり、素早く解決させる必要があったので。

A view of 19 micromachined parts placed on the surface of a dime.
10 セント硬貨に載せられた 19 点の精密部品 [提供: Swissomation]

スイス人と精密さには関係があると思われますか?
スイス人には、クオリティへのこだわりがあると思います。とはいえ、工作機械市場において、スイスは何年も前に日本に追い抜かれています。我々が所有するマシンの多くはシチズン製です。シチズンは約 2,600 台を使用した世界最大規模の精密部品工場を運営しており、腕時計製造のプロセスとマシン自体を非常に洗練させています。今も「スイス型」旋盤と呼ばれていますが、その多くは日本製なんです。

仕事上で一番大変な点は?
休みが取れないことですね。妻と私は、この効率性を維持するために毎日働いています。スタッフ数が少ないので、私たちの一人一人のやるべき仕事が増えるのです。社員管理はいつも難しいですね。マシンの取り扱いは得意でも、人間の扱いは一番の苦労の種です。

最も役に立っているテクノロジーは?
iPhone かもしれません。会社経営用に独自のソフトウェアをゼロから作成したのですが、非常に信頼性の高いソフトウェアです。IT 関連の問題はなくなりました。我々が記述したカスタムの FileMaker ソリューションを使用すれば、工場内の部品を iPhone で追跡することができます。洗浄中のロット数、セカンダリにあるロット数、完成済みで発送可能なロット数をそれぞれ確認可能です。見積を出し、カスタマー リソース管理ソフトウェアのルックアップできます。プロセスの最初から最後まで、その全てが完全に連結されています。

Autodesk Fusion 360 は、カスタマーとのコラボレーションが行え、ほぼ全てのフォーマットを開くことができる機能が本当に便利です。届けられるファイルの多くが STEP で、まだ製図段階でなくモデリング段階だがフィードバックが欲しいという見積依頼では STL 形式の場合もあります。この部品はどのように製造され、この部分で何ができるのかなど全てを Mac で検討する上で、こうしてあらゆるファイルを読み込めるオプションは、他にはありません。

 

米国企業のオーナーとして、製造業の海外移転について語る政治家の話を聞いて、真実だと思えることと、そうでないことは? また、実際に収益に影響するのは何でしょうか?
原材料はその一部と言えるでしょう―塗装済みの完全に完成品の中国製鋼製品を、粗鋼以下の価格で購入することができてしまうのですから。今のようにドルが強いと我々は苦しいですね。ヨーロッパのディストリビューターと競合するような場合は、ユーロ安だと辛いです。でも、製造業ではもう何年も米国からの撤退が続いています。新興のスタートアップ工場は、あまり見受けません。40 – 50 年も続いた工場まで、数多くの工場が閉鎖している状況です。

その主な理由は、商品のコストでしょうか?
その通りです。それにほとんどの場合、製造コストと原材料コストの差は非常にわずかです。原材料コストの 10% しか利益がなければ、競争力を保つには効率が本当に重要です。

Redshift の「リアル ライフ」シリーズは、建築家やエンジニア、施工業者、デザイナー、その他のクリエイター/メイカーの取り組みや成功例、現実について話を聞いています。

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