高リスク、低マージン。建設業界の、このありふれた描写こそが、施工会社が最終的な収益性 (これがつまづきの原因となる可能性があり、実際にそうなることも多い) と不確定要素の克服に高い意識を向ける理由の、核となる部分だ。

この課題は、数字にも現われている。KPMG による2015 年度グローバル建設プロジェクト オーナー調査「Climbing the Curve, 2015 Global Construction Project Owner’s Survey」によると、過去 3 年間の建設プロジェクトのうち、本来の期限の 10 % 以内の遅れで完了できたのは、わずか 1/4 に過ぎない。また、Turner and Townsend による 2016 年度の国際建設市場調査では、世界の建設プロジェクトの平均利益率は、2015 年の 6.3% (これ自体がかなり低い数字だ) から 6.1% へと下がっている。(日本の建設業の利益率の情報はこちら)

プロジェクトの規模やスケジュールを問わず、そこには常に厳しい現実がある。不測の事態が起こると、予測しておこう。だが、予想外の出来事を減らして、リスクを低減できるとしたら、どうだろう? しかも、収益を向上させられるとしたら?

「スマート化」すべき時の到来

BIM の推進は、より効率性に優れた結果を望むオーナー側に端を発するものだった。今やそれは、設計のプロセスと全ての関係者へ連鎖的に広がっている。これは、もはや建設の未来だけの話だけではない。この変化は、 BIM の利点が無視できないほど説得力があることから生じているのだ。書籍「Getting to Grips With BIM: A Guide for Small and Medium-Sized Architecture, Engineering, and Construction Firms」によると、2013 年から 2014 年だけで、BIM は英国内の建設費で 8 億ポンド (約 1,217億円) 以上ものコスト節約に貢献している。

DPR Construction は 1997 年、いち早く BIM の熱心な推進派となり、Sutter Health の Camino Medical Group Mountain View キャンパス (2007 年竣工) で大進歩を遂げた。Camino は、BIM、IPD (インテグレーテッド プロジェクト デリバリー)、リーン コンストラクションを組み合わせて活用した、DPR 初のプロジェクトだった。

DPR は「18 Years of BIM (BIM の 18 年)」という記事で、「Camino プロジェクトでは、チームによって約 23,225 平米の外来患者向け医療センターに BIM が戦略的に活用され、従来の CM-at-risk (請負型 CM) アプローチに比べて、推定 900 万ドル (約 10 億円) 以上のコスト節約と 6 カ月の工期短縮につながりました」と記している。「それ以来、BIM の利点とサービスは進化を続けてきました。Camino プロジェクトのスタートから約 10 年、BIM 活用の取り組みを始めて 18 年が経過した今、現場での作業が始まる前から、弊社の全プロジェクトの 85 %で BIM を使用しています」。BIM は建設業務などにも影響を与えることができ、それは既に行われている。

建設現場はデジタル化されつつあり、それは避けようのない流れだ。

全てがひとつに

BIM は、ビジュアライゼーションと、それがもたらす利点で広く知られている。だが、BIM がもたらす建設コストの削減で最大の部分は、BIM が促進するコラボレーションに由来するものだ。オーナーや建築家、管理者、施工会社といった区別は排除され、全員が共通理解を持ち、全てのデータが収集、保存、共有される。これにより、計画に対する実際の建設が、より正確で透明性の高いものとなる。それにより材料を節約でき、スケジュールを効率化することが可能だ。

手戻りを減らす

手戻りは、建設プロジェクトを赤字に陥らせる最大の原因のひとつだ。現実的に、やり直しを完全に排除することは不可能だが、その数を劇的に減らすことで、場合によっては何億円もの節約が可能だ。手戻りが 5% から 2% になることの影響は大きい。モデルに含まれている BIM の詳細情報により、干渉チェックや協力会社のスケジュール効率化が行えるため、手戻りの減少に貢献する。チームはムダが生じる前に問題を予見可能。また、BIM を使用するプロジェクトでは関係者が設計や計画のプロセスへ非常に早い段階から関与するため、より早期の段階でやり直しを排除することができる。

安全を期する

ケガを予防して関連コストを低減するためにも、安全は最優先事項だ。BIM は、安全上の危険要因を計画段階と現場の両方で特定することにより、これにも貢献する。ビジュアライゼーションにより、作業員はエリア全体を理解して、リスクの軽減に努めることができる。ケガや生命の危険がある現場では、安全こそが、建設チームの望む最も重要な結果となるのだ。

ディスラプションを受け入れる

モバイル デバイスやバーチャル リアリティからドローン、レーザー スキャン、モノのインターネット、クラウドまで、建設業界を大きく変容させるテクノロジーは幅広い。建設現場はデジタル化されつつあり、それは避けようのない流れだ。建設業界は増益の実現のためにも、スマート テクノロジーの急速なペース上昇を受け入れる必要がある。

BIM は、関係者がこうした全てのテクノロジーを把握するのに役立つ。そして、より優れた効率性と生産性を生み出すために、テクノロジーを活用できる。AEC Excellence Awards を受賞した China Construction Engineering Third Bureau Group Co. は、テンセント北京本部プロジェクトの建設現場で、IoT を応用するの総合プラットフォームとして BIM を使用した。

「クラウドに接続したセンサーやデバイスを使用して、部材の構造的な整合性の監視や、コンクリート打ちの温度の追跡、作業員や材料の位置の確認を行っています」と、技師長のヤン・ビン氏。「データは全てクラウドに、リアルタイムで保存されます。それによって、より効率的なプロジェクトが実現し、ビルの品質をさらに高められるのです」。

アリソン・ハフマンオートデスクのインダストリー イニシアチブ マーケティング マネージャーです。本記事の別バージョンが Construction Executive に掲載されています。

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