建築家のショーン・バーク氏は数年前、シアトルの工業地域であるソードー (SoDo) 地区でコンサルタントとして働いていた際に、あるひらめきを得た。

窓から積み重ねられた輸送コンテナを眺めては、小さな居住空間について考えていた彼は、ふとひらめきを得て、独りになれる時間を過ごすコンテナ ハウスのプランニングとデザインをスタートさせた。もちろんコンテナ ハウス自体は新しいものではないが、その既成概念の枠を自身のデザインで超えようと決意したのだ。

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Bento Box プロジェクトのドローイング [提供: Sean Burke and Unboxed House]

「これまで目にしたものは、どれも多数のコンテナを積み上げただけのものでした。確かにコンテナは、そういう目的で作られたものですからね」と、バーク氏。「コンテナを意図的に切り刻むことで光を取り込み、天井の一部を持ち上げて、よりオープンな雰囲気を生み出したいと考えたのです」。

シンプルな産業用ボックスでも派手なブティック建築でもない、コンテナ ハウスの建築が今、成熟期を迎えている。1980 年代にコンテナ ハウスに関する最初の特許が取得されて以降、この重厚な金属製の箱を住居へ変換するコンセプトが人気を獲得してきた。

その支持者たちは、優れた強度と幅広い普及、コンテナの輸送とそれを使った建築が比較的低コストで行えることを評価している。またサステナビリティの提唱者たちも、コンテナが体現するエネルギーレベルの高さ、二酸化炭素排出量の少なさ、嵐やその他の自然現象に対する優れた耐久性をセールスポイントとしている。グリーンビルディングの支持者たちは、それをレジリエンス (回復力) と呼んでいる。

「コンテナは長持ちするよう作られているので、より環境に優しいのです」と、バーク氏。「移動可能なので、ひとつの場所に縛られず、安定した我が家という雰囲気を味わいたい場合に便利です」。

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Bento Box プロジェクトのドローイング [提供: Sean Burke and Unboxed House]

だがデザイン面では、どうしてもコンテナ ハウスの外観は長方形を重ねて、それに幾つかの窓と扉を付けたような形に限定されがちだ。一般的な輸送コンテナである 40フィート型 (通常は長さ 12 m、幅 2.4 m、高さ 2.9 mで居住/格納スペースは 29.7 平米) のサイズは、利点であると同時に悩みの種でもある。

コンテナは、増設時のサイズ計算は簡単だが、形による制約がある。「裏庭に設置するコンテナ製のホームオフィスやコテージはよく見かけますが」と、バーク氏は続ける。「ひとつのコンテナが完全な居住空間となるものを販売する業者はほとんどありません」。

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ワシントン D.C. のSeaUA アパートメント ビル [提供: Travis Price Architects]

だがスタイルと熱意の観点から見ると、デザインの限界を打破しようと努める建築家の存在により、コンテナ ハウスはここ数年新たな盛り上がりを見せている。自身のブログとブランドを Unboxed House (独創的な家) と名付けたバーク氏は、輸送コンテナが長期にわたるメイン居住空間となり、単にブロックを積み上げるだけでなく巨大なレゴのように機能できることを実証しようと試みた。

バーク氏による、Autodesk FormIt 360Revit が使用された Bento Box プロジェクトのデザイン案では、裏側と側面 1 面が突き出され、天井が持ち上げられて屋根裏のスペースが追加されており、その片側に横長の窓が取り付けられている (この家は現在建設中)。予算は、わずか 25,000 ドルだ。

こうしたイノベーションは世界各地で生じており、特に手頃な住宅の需要がある地域では、その傾向が高い。5 年前、建築家のベンジャミン・ガルシア=サックス氏は、40 フィート型の中古輸送コンテナ 2 つを使用し、ローンなしの生活を望む家族のために、コスタリカでコンテナハウスを製作した。彼はコンテナの位置を側面に沿ってずらし、間に廊下を設置して、追加された区画の上に傾斜させた屋根を追加した。この独特な形状は、採光窓と天井から床までの大きな窓と共に、空間をより大きく感じさせる要因になっている。このプロジェクトはわずか 40,000 ドルだった。

「輸送コンテナを使用するアイデアはクライアントから持ち込まれたものでした」と、ガルシア=サックス氏。「ボロボロでサビと傷だらけの輸送コンテナが非常に安価で販売されているのを見つけて購入したそうです。それを上手く活用できるよう手助けするのが私の仕事でした。廃棄されていた材料の再利用は、コスト効率に非常に優れています。コンテナに使用されている金属は耐久性に優れていますが、それを既製品として購入するのは困難です」。

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SeaUA のキッチンとリビング [提供: Travis Price Architects]

一方、ワシントンDC のアメリカ・カトリック大学近くに立つ、2014 年に建設が完了した SeaUA アパートメントは、3 階建てで各層に 6 つの輸送コンテナが使用されている。Travis Price Architects (AutoCAD などを使用している) によりデザインされたこの建物は、コンテナのドアを開いた状態で溶接して日よけパネルを作成し、天井から床までにわたる高さ 2.7 m のガラス パネルをはめ込むなど、コンテナ特有の特徴を工夫に富んだ手法で活用している。

「これは主流となっているモダニズムです」と、主任のトラヴィス・プライス氏 (FAIA) は話す。「輸送コンテナを使用したビルは新しいものではありませんが、今ではその密度は増しており、社会にも受け入れムードが整いつつあります。カリフォルニア スタイルのモダンなグラスハウスを誰もが夢見ますが、今では本当にそういったマイホームをタウンハウス、アパート、マンションとして所有することができるのです。これはレンガ以来の優れた発明です!」

輸送コンテナは、さまざまな点でデザイナーにとって魅力的だが、それでも課題がないわけではない。「コンテナの強度に注意を払い、コンテナに何らかの加工を行う場合は、その強度を鉄筋で必ず補強する必要があります」と、バーク氏。「構造上、床と角の柱に全ての荷重がかかります。構造工学のエンジニアを雇い、アドバイスを得るべきでしょう」。

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SeaUA アパートメントのベッドルーム [提供: Travis Price Architects]

ユニットには断熱と冷暖房が必要であり、そうした要素の取り付けは場所を取るが、コンテナには機械系を隠蔽する空間の余地があまりないため独創的な思考が要求される。地方自治体の市街化調整区域も問題だ。

「細部まで細かく指示を出し、自作プロジェクトとして行うつもりでないのなら、コストは問題ではありません」と、ガルシア=サックス氏。「ただ、自宅の建設に責任を持ち、かつコストを削減したいと思うなら、なんとしてでもこの可能性を模索するべきです」。

コンテナ ハウスに住むことは、大きな家に住むのに慣れた人々には、それなりの適応が必要なことかもしれない。だがバーク氏にとって、制限された空間は安心感を与えるものだ。筐体に包まれ、守られているような感覚は、風水の実践者にもしばしば賛同されている。バーク氏は、著名なタイニーハウスの提唱者ジェイ・シェーファー氏にならい、自身を「閉所嗜好者」と呼ぶ。

「くつろげる狭小な環境にいるのが好きなんです。楽に息ができるような気がして」と、バーク。「オープンな空間が必要になったら、外には大きな世界が広がっていますからね」。

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