10 年越しの、一夜にしての成功: 製造業の企業から学ぶ 6 つのソーシャルメディア TIPS

by Erin Hanson
- 2018年8月2日
social media for manufacturing companies
Image composite: Brandon Au

製造業の企業のソーシャルメディアにおいて、ジョン・サンダース氏は他を圧倒する存在だ。彼の YouTube チャンネル NYC CNC は、CNC マシンと製造に関する、最大規模の YouTube チャンネルとなっている。

そのチャンネル登録者は約 24 万人、視聴回数は 3,700 万回に迫っている。その上、Facebook ページのフォロワー数が約 3 万 7,000 人、Instagram も 2 万 6 千人であることからも、氏がソーシャルメディアを熟知していることは明白だ。

こうしたソーシャルメディアへのひたむきな取り組みが、NYC CNC と自身の精密機械工場である Saunders Machine Works の成功に一役買っている。サンダース氏は、10 年前にはパーツの機械加工すら行ったことがなかったが、製品と、それに必要なパーツの構想は持っていた。パーツ製造の外注にコストをかける代わりにインターネットを検索し、CAD/CAM ソフトウェア パッケージに「偶然出くわした」結果、自ら CNC マシンを購入。独学で工作機械オペレーターとなった。

John Saunders using his Tormach CNC machine
「ものづくりが大好きなんです。目を覚まし、アイデアについて考え、ソフトウェアでモデリングし、機械加工で製作できるということが」[提供: John Saunders]

「やりがいと、実現させたいという強い願望があったから、やり通すことができたのです」と、サンダース氏は話す。

サンダース氏は、知識の習得と共有へ対する、心からの情熱を持っている。そして、自身のビジネスを反映するため、ソーシャルメディアへ重点的に取り組む。従来の精密機械工場の運営に加えて、サンダース氏はオンラインと対面によるソフトウェア トレーニングも提供している。

製造業企業のソーシャルメディアにおけるプレゼンスは、その業務内容を問わず、現代のビジネス環境では当たり前のように求められるものだ。サンダース氏は「ソーシャルメディアの重要な目的は、その会社がどういう存在で、その大義や意味、背景となる文化、企業としての誇りを示すことです」と述べる。

その氏に、製造業企業のソーシャルメディア活用に関する、6 つのベスト プラクティスを紹介してもらった。

1. ソーシャルメディアが提供する機会を理解する: 新規の顧客と雇用

ソーシャルメディアは、他の形態の広告やプロモーション同様、ビジネスに対する関心を高めるための媒体だ。「企業家として、ソーシャルの世界で存在を見つけられないような会社には戸惑いを感じます」と、サンダース氏。「新たなマシンやサービスの購入を検討する際、それが私の意志決定のプロセスに大きな影響を与えています」。

人々は購買の決定に際して確信を持ちたいと感じるものであり、同等の集団が共有する独自の体験ほど、その決断を強化してくれるものはない。同等集団への信頼は、若年層にとっては特に重要だ。「若い世代は、見本市に行ったり、サービスやセールスの担当者からの売り込みの電話に耳を傾けたりはしません」と、サンダース氏。

Saunders Machine Works shop floor
オハイオ州ゼインズビルにある Saunders Machine Works 内部の様子 [提供: John Saunders]

若い世代、将来の社員におけるソーシャルメディアの重要性を認識することは、この上なく大切だ。採用に際して、対象者のプロフィールをソーシャルで吟味するのと同様、求職者たちも自分に合った会社かどうかの見極めに、ソーシャルでの企業のプレゼンスを活用している。サンダース氏は、これは若年層にキャリアの選択肢として製造業を新たな目で見直させる、優れた機会となると述べる。

「製造業が、かつてのように黒く煤に汚れた業種ではないことを理解してもらう必要があります」と、サンダース氏。「機械加工分野だけでも、マシンの操作やプログラミングからサービス テクニシャンまで、非常に幅広い役割がありますからね」。

2. ビジネスと処理能力に最も有用なプラットフォームを選択する

Facebook、YouTube、Instagram のいずれかを、あるいはその全てを活用するにあたり、管理可能なやり方で企業の業務内容を公開するべきだ。

3. コンテンツ作成時にオーディエンスを意識する: 視聴者を第一に

サンダース氏は、ソーシャルメディアは企業の PDF や販促資料をリサイクルするプラットフォームではないことを強調している。「それは、人々の見たいものではありません」と、サンダース氏。

NYC CNC の視聴者が見たいのは、パーツ製作やソフトウェア学習のビデオだ。だからこそサンダース氏は、それをスケジュールに組み込んでいる。「毎週水曜に Wednesday Widget (水曜のウィジェット) を公開し、パーツの製造方法を紹介しています」と、サンダース氏。「毎週金曜は Autodesk Fusion 360 の活用方法、学習方法に関するビデオです。また、企業家精神や、工場紹介のツアー、業界に関するビデオも公開しています」。

こうしてサンダース氏がオーディエンスを良く理解している一方で、どのビデオが確実に視聴者の心を捉えるのかは予測できない。ハロウィンのジャック・オー・ランタンを機械加工で作成するビデオの視聴回数が 60 万回を超えているのに対して、よりテクニカルな内容のビデオの視聴回数はわずか (という表現が適当かどうかはさておき) 2 万回だ。だが、それでいい。重要なのは、サンダース氏が自身のオーディエンスを念頭に置いて優れたコンテンツを作成しており、だからこそ視聴者は彼のチャンネルから離れない、ということだ。

4. 公開スケジュールを決め、それを守る

「ストラテジー」という単語には抵抗を感じるかもしれないが、公開内容とそのタイミングについて、ある程度の狙いがどうしても必要になるとサンダース氏は述べている。

5. オーディエンスと関わり合うこと — 公開後に放置しない

ソーシャルメディアを通じて行っているのは、ビジネスを巡るコミュニティを生み出し、製造のソーシャル コミュニティに加わることだ。これは、オーディエンスに投稿やコメントを公開するよう働き掛け、そうした投稿に回答し、他のサイトに記事を公開したり他のサイトのコンテンツを紹介したりすることを意味する。「人々が Instagram で他の工作機械オペレーターをフォローするのは、機械加工が好きというだけでなく、そこに一体感を感じるからです」と、サンダース氏。「ビジネスはそれぞれが独自に運営していても、互いに助け合いたいと考えているのです」。

これは先日、サンダース氏が Autodesk University のためラスベガスに滞在した際にも体験したように、素晴らしい交流につながることもある。ホテル「ザ・パラッゾ」には「LOVE」の文字を象った巨大な金属製の彫刻があり、表面はハトの形に切り抜かれていた。サンダース氏は、これがどう作られたのかを知りたいと思い、彫刻の写真を投稿して、フォロワーに意見を求める。1 時間もしないうちに、フォロワーのひとりが、彫刻から切り抜かれたハトの画像を投稿した。

「このアーティストはバーニング・マンに参加していて、この彫刻から切り抜かれたハトを配っていたそうです」と、サンダース氏。「芸術作品や、金属切削や製造のテクニックについて話したりするのは、知識を共有する素晴らしい方法です。ビジネスには直接つながらないかもしれませんが、人々のためにものづくりをするという、私たちの業務を PR するのに役立ちます」。

6. チャンネルの成長を忍耐強く待つ

サンダース氏は NYC CNC について、冗談めかして「一夜にしての成功を、10 年越しで収めました」と話す。サイトの成功は一朝一夕で成し遂げたものではなく、それは恐らく読者の場合も同様だろう。勢いが出るまでには 1 年、あるいはそれ以上かかるかもしれない。サンダース氏の場合も、Instagram のフォロワーを増やすのに 5 年近くかかっている。

「ソーシャルメディアの難しいところは、成功を収めるプラットフォームとなるのに時間がかかることです」と、サンダース氏。「これを良しとしない人もいます。コストをかければ実現を早められると考えがちなこの時代では、特にその傾向があります」。Instagram や Facebook のスポンサー投稿は、対象視聴者への訴求に効果的かもしれないが、フォロワーの買収は決して勧められるものではない。

ソーシャルにおけるプレゼンスは、結局のところ、その取り組みに対する熱意にかかっている。「ソーシャルの取り組みを楽しいと思えないなら、止めてしまうか、別の誰かに委託した方がいいでしょう」と、サンダース氏。「時々考えることがあります。もし YouTube や Google が登録者数や視聴回数をでっち上げていたとしても、これまでの取り組みを振り返ったときに自分はハッピーだろうか?と。それに対する私の答えはイエスです。私は楽しんでいます。時間はかかるし、続けるにはそれなりの動機が必要ですが、そうすれば視聴者は付いてきてくれるのです」。

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