ソフトウェアの缶詰はもう不要: ソフトウェア サブスクリプションが新鮮なサービスを提供

by Andrew Anagnost
- 2015年10月26日

変化はたやすいことではない。その変化を実行に移すのは、消費者であれ企業であれ、さらに大変なことだ。

たとえばゼネラル・ミルズについて、そしてシンプルな材料を求める消費者の需要に基づき、シリアルから人工香料と人工着色料を排除するとした彼らの企業目標について考えてみよう。製品ラインや食糧生産、調理法全てに大規模な見直しが必要となるのだから、これは口で言うほどたやすいことではない。だがこれは市場へ生き残り、より優れた製品を生み出すための問題なのだ。

ソフトウェア業界とそのユーザーの両方にも変化の波が訪れている。ソフトウェアの永久ライセンスはいまも存在しているが、ブドウ糖果糖液糖のように避けた方が望ましい存在になりつつある。その一方、成長傾向にあるのがソフトウェア・サブスクリプションだ。

software_subscription_netflixこの 2 種類のモデルは、ソフトウェアのユーザーのみならずソフトウェア業界にも課題を突きつけている。カスタマーは、ソフトウェア ビジネスの現状に適応しようとしている。慣れ親しんだソフトウェア ライセンスからサブスクリプションという未知のテリトリーへと移行するのは簡単ではない。だが実際のところ、サブスクリプションはそれほど未知のものではない。既に iPhone や Netflix など特定の分野では、一定の認知度が得られるようになっている。

ソフトウェア業界はこの転換を、単に変化を求めて行っているのではない。たとえ産みの苦しみを伴ったとしても、より良い体験を皆にもたらす変化になる。これはカスタマー向けにデザインされ、より良い製品を生み出すためのものなのだ。巨大な容量の一括アップデートや、シリアルナンバーの消失による数時間や数日、場合によっては数週間もの無駄に別れを告げることができ、作業の中断も大幅に短縮されるだろう。

まだ信じられないだろうか? その仕組みを説明しよう。

最近何かしてくれた? ソフトウェア メーカーはユーザーを満足させ続けるため、もっと懸命になるべきだ
ソフトウェア サブスクリプションへの転換に関する最も大きな誤解のひとつに、一度だけの支払いから長期間への分散へという、収益の単純な移動だと捉える傾向がある。ソフトウェア メーカーの観点から言えば、それは理由のほんの一部でしかない。かつてないほど大きなリスクではあるが、このリスクは、はるかに優れた体験を提供できる可能性を持っている。

software_subscription_company_investmentじっくり考えてみて欲しい。一度に全ての収益を計上するビジネスであれば、売上を獲得するために、現カスタマーよりも見込み客へ、より多くのエネルギーを注ぐのが常だ。それに対してサブスクリプション ビジネスでは、サブスクリプション購入者の満足度に投資する必要がある。サブスクリプションへの転換を行うことで、例えばオートデスクは投資の全てを「購入」という成果につぎ込むのでなく、カスタマーがその製品やサービスに満足できるような支援を行うことに重点的に取り組もうとしている。このビジネスモデル転換の、さらに魅力的な側面がそこにあるのだが、それには考えが及ばない人も多いのが現状だ。

ソフトウェア メーカーがカスタマーの成功を支援すべき立場にあることの理解が進み、またメーカーがその実行のためにあらゆるリソースを集結させているとカスタマーが確信を持てるようになれば、 この投資を進んで行う傾向はより強くなるだろう。メーカー側の投資が増えれば、カスタマー、そしてサブスクリプション購入者の満足度は高まる。誰もが得をする魅力的なパッケージだが、この成立にはソフトウェア メーカーが価値の継続的な提供を続けることが条件となる。

意味不明なシリアル番号 (XnJ*D3489802010dK3lk) 以上にユーザーの存在が重要であり、ソフトウェアがユーザーをフォローすべき
サブスクリプションは、これまで頭痛の種となってきたライセンス用シリアルナンバーを排除する。ひとつのコンピューターのライセンスを解除して別のコンピューターにライセンスを移すという作業も、もう必要ない。シリアル番号を管理したり、アクティベーション コードを入手したり、ライセンス アクティベーションのエラーを解決する必要はないのだ。マシン間での転送も不要。ログインさえすれば、すぐに使用できる。

software_subscription_flexibility_computer

今後、ソフトウェアはユーザーをフォローするだけでなく、ユーザーのカスタマイズ内容もフォローできるようになる。自宅や職場で、電話、モバイル機器、ラップトップ上でソフトウェアをアプリとして使用する必要がある。この筋書きをボブの日常を例に考えてみよう。ボブは勤務先のコンピューターの前に座り、ボブ専用の Autodesk AutoCADRevitInventor を使用する。自宅に戻っても、コンピューターの前に座ってログインすれば、またボブ専用のバージョンを使用してデザインを続けられる。それまで一度も使用したことのないコンピューター上でも、ボブとしてログインすれば、いつでもボブ専用のバージョンを使用できる。それも全てがボブ用にカスタマイズされた状態で。

なかなか悪くないのでは? これら全てが実現するのは、サブスクリプション モデルではソフトウェアがクラウドでライセンスされているだ。サブスクリプション モデルにおいては、ボブのカスタマイズ内容やライセンスの管理がずっと簡単になる。モノがつながり、連携してよりよい結果をもたらす素晴らしい世界なのだ。

そして、これはオンライン状態で常時クラウド接続している場合に限ったことではない。人里離れた場所や機内、海上の石油掘削施設などでオフラインの状態の場合も問題ない。サポート機能は製品に内蔵されているので、ログインという概念の枠内で使用されるとはいえ、オフラインでもオンライン時と同じような体験が得られる。

サブスクリプション: ちょうど良いサイズと手頃な価格
iPhone はアップデート用のボタンを押すだけで機能する。そこで使用している他の多くのアプリも同じで、シームレスにダウンロードできる。年単位でリリースされる高負荷のソフトウェア アップデートではそうはいかなかったが、うれしいことに、この状況は変わりつつある。

software_subscription_upgrades何年もの間、カスタマーは大変な混乱に対処する必要があった。IT 担当者たちは巨大なアップデートにうんざりして頭を左右に振り、新機能の入手が遅れる怒りに拳を震わせたものだ。誰だって情報雑誌は毎月一度、ニュースなら毎日入手したいと考える。それがデジタル形式で入手できるようになれば、なお良い。1 年分の『エコノミスト』誌を年末にまとめて手に入れても仕方がない。6 カ月前に目にしていればプロジェクトに関する助言や見解を提供してくれたかもしれない昔のニュースなど、もう必要ない。『チャーリーとチョコレート工場』のベルーカ・ソルトの有名なフレーズごとく、誰もが全てを今すぐ欲しいと考える時代に、なぜソフトウェアの新機能や重要なパフォーマンス アップデートを待つ必要があるのだろう?

サブスクリプションを解除するとファイルへのアクセスを失うのではないかという不安や疑念、心配もかなり大きいようだが、実際にはアクセスは失われず、作成したファイルやデザインへいつでもアクセスできる。たとえばオートデスクは様々な無償ビューワーを提供しているので、変更を行う必要がなくても、いつでもファイルを表示して確認できる。あなたの作品は、間違いなくいつまでもあなたのものだ。

皆が口に出そうとしない、あのテーマも取り上げよう。そう、費用だ。カスタマーにとって、大型先行投資となる支払の回避は、明らかに金銭上の利点をもたらす。プロジェクトのクライアントにコストを転嫁することも、ずっと簡単になる。製品が数カ月にわたって不要な場合はサブスクリプションを停止し、必要に応じて再開すればいい。必要なときには、いつでも使用できる。

software_subscription_new_optionsソフトウェアを缶詰から新鮮な製品に変化させる
ソフトウェアに賞味期限があることは誰でも知っている。カスタマーがフレッシュな製品を求めているにも関わらず、なぜ未だに缶詰のような状態で販売されているのだろうか? 3 年後にはソフトウェアは時代遅れになるし、そうなるスピードは急激に加速している。ソフトウェア サブスクリプションであれば、直売所に毎週買い出しに行くようなものだ。新鮮かつ旬の時期で、選択肢も豊富。このフレッシュなアプローチを採るべき時がやって来た。

カスタマーに話を聞けば、それはますます明白になる。時代遅れの慣行やツールを待ち、それに固執することが皆をダメにする。3 年前に購入した iPhone アプリを一度もアップデートせずに使用している人は、どれだけいるだろうか?

これが大きな変革であることは事実だ。しかし、個々のユーザーのニーズと状況に合わせて段階的に進めることが可能だ。例えばオートデスクのカスタマーは、今後も好きなだけ保守契約を更新し続けることができる。オートデスクは、この転換を強化する方法に耳を傾け、短期的な成功ではなく長期的な展望を見据えている。

ソフトウェア サブスクリプションの未来は、もうすぐそこにある。次のステップへと踏み出せば、それはさらに良いものとなるのだ。

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