鉄骨建設のテクノロジー: Prescient が 12 階建てビルをシンプルに

by Matt Ball
- 2016年8月15日
[提供: Prescient]

複雑なものはコストも高くなる。それが最も明確に表れる分野が、恐らくは建設だろう。

精巧に作られたインテリア、エレガントな本社ビルなど、洗練された完璧なものには、それなりの費用がかかる。カスタム建築はコストも高額になり、それが一度限りのものの場合は、維持も非常に困難かつ高額だ。

こうした複雑性に、建設業界はシンプルさで対抗することでコストの抑制を目指し、トーマス・エジソンが開発した型枠注入式コンクリート住宅や戦後の郊外向け大量生産型住宅、最新のモジュール式建築など、さまざまなアプローチを用いてきた。特定の建築様式からエッセンスを抽出し、それを核となる幾つかのコンポーネントに採用することにはメリットがある。例えば反復による建設のしやすさ、勝手が分かっており調達も容易な素材の採用によるメンテナンス性の高さなどがそうだ。

鉄骨建設のテクノロジー: 標準化による自動化
集合住宅不動産デベロッパーとして活動するパートナーで構成されたデンバーのスタートアップ企業 Prescient は、このシンプル化のアプローチを全く新たなレベルへ到達させている。

Prescient-B-Street-LoHi-Building_Example
[提供: Prescient]

Prescient は 12 階建てビルの骨組要素の数を、工場冷延鋼板から製造され、溶接ロボットを使用して組み立てられた 12 のウォールパネル モジュールにまで削減。これを Unified Truss Construction System (統合トラス構造、UTCS) と呼んでいる。

この UTCS アプローチは Autodesk Revitプラグインとして動作する、カスタマイズされたモデリング ソフトウェアにより支援される。デザイナーは、標準化されたグリッド上でパネルと柱を組み合わせ、効率的ながらも独自のデザインを実現可能。ビルの構造上の強度は、これらの柱とトラスが荷重を分散することで得られ、デザインの整合性はソフトウェア内で、工学上の法則と測定基準を内包するシミュレーション ツールにより検証される。

Prescient の CEO ジョン・ヴァンカー氏は「このアイデアが社内に登場したのは 7 年前です」と話す。「プロジェクト毎にカスタマイズと作り直しを行うのではなく、作業を簡略化、標準化して、うまくいった作業内容を繰り返し利用する必要があると考えたのです」。

このモデルが製造をガイドする手段となり、各パネル コンポーネントが作成されると、モデル内の対応する場所に応じてバーコードでタグ付けされるようになった。現場ではパネルが確実に正しい位置に取り付けられるよう、モデルをモバイル機器に表示できる作業員が、パネルのデリバリーと確認を行う。

「建築家がデザインを開発するのに従い、私たちのソフトウェアはビルの構造を開発していきます」と、ヴァンカー氏。「一般的なドラフティングのワークフローでは、設計と構造は別のタイミングで開始され、異なる手順を経るものですが、ここでは最初から密接に結び付いています」。

ミスを減らす
Prescient は、25 年以上にわたる集合住宅のデザインと建設の実績を、これまで現場で散見されてきた問題を解決する、より自動化されたアプローチの浸透に応用している。

Prescient 建設
[提供: Prescient]

「デザインが固まったら、必要となるパネルや柱、トラスの製造のため、CAD から工場内の CAM に送る部品表をソフトウェアが作成します」と、ヴァンカー氏。「ビルの各コンポーネントと、それが必要になるビル内の特定の場所が、デザインから現場渡しの段階まで統合されています」。

各作業員がモデルにアクセスできれば、デザイナーの意図を解釈する必要性を減らしたり、それを完全に排除したりすることが可能。その代わりに、モデルが施工会社のガイド役となる。

この最大のメリットは、費用のかさむ遅延、さらには過誤による作業のやり直しへと発展しかねない現場での失敗を排除できるということだ。Prescient は標準化されたコンポーネントを用いて、作業員が各パネル タイプの詳細な特徴の確認や認識、理解ができる、より優れた予見可能性を現場にもたらしている。

経済面でのメリット
Prescient の UTCS は、同じユニットが繰り返し必要とされるマンションやドミトリー (相部屋式のホステル)、ホテルの急ピッチな開発に最適だ。

自動化された工場はスピード面で有利なため、従来の建設手法と比較すると落成までの時間を 30% も短縮できる。また Prescient は、規格寸法の鋼や木材から切り出す方式でなく鋼を必要な長さに展開して切断するプロセスにより、建設廃棄物を 1% 未満にまで削減している。

prescient 鉄骨 ビル
[提供: Prescient]

「全てのコンポーネントがモデルに紐づけられ、ユニークなバーコードが現場でスキャンされるためビルの建設状況を確認、追跡でき、作業の進捗を正しく理解できます」と、ヴァンカー氏。「生産性を確認し、個々のコンポーネントに至るまでスケジュールを把握できます」。

このアプローチによるコスト削減の大半は、建設スケジュールが短縮され、高度な技能を持った作業員数が少なくて済むことによる人件費の抑制によるものだ。

モデルベースのデザインは、Prescient の効率の向上を可能とするイノベーションを実現している。Prescient は、従来は極めてまとまりのなかったプロセスに、より優れたコントロールを提供するため、ソフトウェア開発と製造の両方を組み合わせる方法を選択した。ビルの建設が非常に複雑であることに変わりはないが、このモデルによって実現した自動化により、よりシンプルになりつつある。

関連記事

Success!

ご登録ありがとうございました

「創造の未来」のストーリーを紹介中!

日本版ニュースレターの配信登録