業界を変える 2017 年以降のデザイン & テクノロジー予測 5 項目

by Jeff Kowalski
- 2017年1月11日
テクノロジー予測 VR ヘッドマウント

最もスマートでイノベーティブな思想家ですら、時には途方もなく間違ったテクノロジー予測を行うことがある。

1878 年、電気技師のウィリアム・プリース氏は、電話がメッセンジャーボーイ (郵便配達員) を廃業に追い込むことはないと語った。1946 年には、20 世紀フォックスの重役ダリル・ザナック氏が、人々は市場投入から 6 カ月も経てばテレビに飽きるだろうと主張。1977 年、エンジニア/企業家のケン・オルセン氏は「自宅にコンピューターを置く理由はない」と語った (彼は現在の IoT ホーム デバイスのずっと先を行くものについても言及していたが、それに関しても彼は間違っていたようだ) 。

technology prerdictions 3D catalog items for Autodesk Inventor generated by an AI
AI が生成した Autodesk Inventor 用 Novel 3D カタログ アイテム [提供: Autodesk]

テクノロジーの予言者となるにはリスクが伴うが、私は2017 年以降の予測に胸の高鳴りを覚える。史上初めて、本当の意味でコンピューター支援設計 (CAD) とコンピューター支援製造 (CAM) が現実のものになると感じているからだ。これまで、コンピューターが人間の思考過程に参加したことはない。コンピューターは忍耐強く指示を待つのみであり、人間の創造の限界を押し広げることはなかった。

だが今、それが変わりつつある。ここでは、デザインとテクノロジーに関する 5 つの希望的予測を紹介しよう。

1. VR が建設業界に大きな影響を及ぼす
VR (バーチャルリアリティ) は建築家を支援するものとして成長トレンドにあるが、最も計り知れない影響は建設業界に起こるかもしれない。VR は建設業界のプロたちに、文書ベースのスケジュール (ガントチャートなど) や 3D グラフィックデータ (BIM モデルなど) 以上に信頼性の高い描写を提供する。

ゼネコンは VR を活用して現場をバーチャルに歩き回り、翌週の作業成果の予定を視覚的に確認できる。データに没入することで、現場で実際に作業を行う前に問題を指摘したり、食い違いを解決したり、変更を調整したりできるようになる。また作業員も予行練習ができるようになる。

建設管理者や作業員が、データと異なる関わり方をできるような変化によって、時間とコストの大幅な節約、手戻りや事故の防止が実現できる。

2. 機械学習が製品デザインのクリエイティビティを新たな高みへ引き上げる
機械学習は飛躍的な進化を遂げている。科学者が共感覚的に人間の脳を刺激することで虚偽記憶を誘引するのと同じ手法で、ソフトウェア内部で「ニューロン」を刺激することにより、これまで考案されたことのないオブジェクトを発掘可能となった。

その一例が、Autodesk Design Graph (英文) プロジェクトだ。これは膨大な量のデータを発掘し、パーツ (ギア、ボルト、ネジなど) 間の関係性を識別して形状毎に分類し、関連性のある提言を行うというもの。システムが訓練されるに従って、人間の脳の仕組みに似た方法で認識能力が高められた。人間がイヌとネコを区別できるように、ソフトウェア内に認知力が存在するのだ。

technology predictions chairoplane where a chair morphs into a plane
Design Graph による「回転空中ブランコ」の解釈 [提供: Autodesk]

一連のニューロンを刺激して椅子を、別のニューロンを刺激して飛行機を、それぞれ作成したとする。この 2 つのオブジェクト間をスライドして「虚偽記憶」を刺激すると、椅子と飛行機の間でオブジェクトがモーフィング変形するのを観察できる。ただし興味深いのは、こうした形態学上の異種ではない。既存のオブジェクトの周辺に注意を向け、その中間にある未知の空間を見つけ出すことで、新しい製品の機会が指し示されるかもしれないということだ。

3. センサー ロボットが製造をより素早く正確にする
コンシューマ IoT デバイスは、ばかばかしいほど凝り過ぎたものになることがある。35 ドルの一般的な家電製品で事が済むのに、スマートフォンに接続された高級トースターが必要だろうか? IoT は近い将来、より大きな影響を産業ロボットへ与えるようになるだろう。

ロボットはこれまで、目の前に人間や他のロボット、作業対象が存在するにもかかわらず、完全に制御された状態で、丸暗記スタイルの機械的な作業を実行してきた。だがゆくゆくは、製造ロボットはより柔軟で、さまざまな状況に適応できるものとなる必要がある。

マデリーン・ギャノン氏の Madeline Gannon’s Quipt プロジェクトなど、センサー ロボットの重要な進展が進行中だ。ロボットが周辺環境を確認し、自分でプログラムを変更して、同じ単純な間違いを繰り返さないようにするのを支援する。Autodesk Applied Research Labも、タスクではなく「目的」を扱う大型アディティブ ロボットに取り組んでいる。プリント中も常に、いかに目的達成へうまく進んでいるかを測定し、必要に応じて軌道修正することができる。

このラボには、未体験の新物体を拾い上げ、「意見」を持ち、対象の最も掴みやすい部分を判断できるロボットもある。失敗しても、その間違いから学ぶことができる。次のステップとして考えられるのは、視覚にカメラを使用したロボットに代わって、ロボットの目をレンダリングされたシーンで置き換えることだ。公園のベンチ上のレゴや、他のレゴに混じったレゴ、さらにはネコに付けたレゴなどのシーンを提供するのだ。

LEGOBot building robot. Courtesy Autodesk.

コンピューターと機械学習システムで操作されるロボットは、こうした多様なシナリオを想定するが、それを現実世界で実行に移す必要はない。こうしたトレーニング シナリオを同時に、かつ大規模に実施できるため、ロボットがレゴを拾い上げる動作を学べば、オフライン プロセスにより何千万という異なる複数のオブジェクトの同時学習を加速できる。こうして「あらゆるもの」を拾い上げる方法を習得するのだ。

4. ジェネレーティブ デザインとシミュレーションが製造可能性を予測する
「レーダー作戦ゲーム」というボードゲームを覚えているだろうか? C6、C4 などと位置を指定して、敵陣地を攻撃していくゲームだ。試行錯誤しながら進めていき、運が良ければ敵の戦艦を沈めることができる。

ジェネレーティブ デザインとは、このゲームのルールを逆にして、全ての戦艦の位置を相手に教えるようなものだ。シミュレーションとジェネレーティブ デザインを使用すれば、あらゆる選択肢をでき、また選択肢の全てが製造可能となる。まずコンピューターにより選択肢が精査されるからだ。

例えばエアバスは、ジェネレーティブ デザインを使用して、従来のものより 45% も軽量な機内パーティション (クルー エリアとシート エリアを区切る壁) を作成した。エアバス チームは、ジェネレーティブ デザインで作成された 10,000 点を超えるデザインから数点を選び出し、シミュレーション ソフトウェアを使用して徹底的な検証を行った。その結果、3基のアディティブ マニュファクチャリング システムでプリント可能な、安定した構造でありながら軽量なパーティションが、失敗も無しに生まれた。

このプロセスは、単に時間とコストを節約しただけではない。現在発注済みの数千機の A320 にこのパーティションが使用されれば、年間数千立方 t も二酸化炭素排出量を削減できる。

5. クラウドソース データとジェネレーティブ デザインがより満足度の高い職場を生む
ジェネレーティブ デザインは、まずはプロジェクト開始から製品化までのサイクル タイムが短い製造業界に打撃を与えるようになる。だが建築家も目標や制約、結果の検討にジェネレーティブ デザインを使用する余地がある。

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ジェネレーティブ デザインによるトロントの MaRS ビル用フロアプロンのオプション [提供: Autodesk]

その一例が、トロント大学とオートデスクによる MaRS ビルへのアプローチだ。ここではまず、コラボレーション、日当たり、プライバシーなどのニーズを理解するため、従業員を対象に調査を行った。このデータを基に、ジェネレーティブ デザイン ツールで、数千に上る構成から複数のプラン選択肢を作成した。

ビルの向き、窓割り、日よけ、フロア数などの面と、その影響が全て詳細に検証された。だが、建物内部で従業員の生産性を向上させるものはいったい何だろう? その答えは、人間の好み (個人でそれぞれ異なる) をコンピューターによる計算で示す調査データのマッピングにある。

このアプローチでは、複数の達成目標を持つ極めてダイナミックな状況を検証することが重要だ。そしてそれこそ、これまでの「最初にうまくいったものを採用する」といった手法に比べて、ジェネレーティブ デザインのテクニックが最大の力を発揮する場面なのだ。

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