「ダム・キーパー」: インディペンデント映画プロデューサーに転身した元ピクサーのアニメーターの作品がオスカーへノミネート

「ダム・キーパー」[提供: Robert Kondo and Dice Tsutsumi]

連続して変化する画像で生み出すアニメーションは、かつては繊細な筆運びや明瞭なインク線だけが頼りだった。だが、初期アニメ―ションのゆったりとして優雅な雰囲気をデジタルで再現する手段があるとしたら?

アカデミー短編アニメ賞にノミネートされた「ダム・キーパー」は、ピクサーでセット デザインを担当していたロバート・コンドウ氏と、同じくピクサーで光と色彩のアート ディレクションを担当していた堤大介氏がタッグを組んだ初のプロジェクトであり、伝統的訓練とフレデリック・バックらのアニメーション作家によるパステル画のような作品に対する称賛を復活させている。

ダイアログを意図的に避けたエコロジカルな寓話は、「銀のスケート」のストーリーから着想を得た内気な豚とませたキツネを主人公に、より伝統的な画法のディテールと芸術性を捉えたものとなっている。デジタルからアナログへの情報伝達と説明するべきワークフローを用いることで、このプロダクションでは、アニメーターたちが8,000以上のデジタル フレームにできるだけの筆を加えて「画に可能なかぎり手を加えた」と、コンドウ氏は話す。

また堤氏は「実世界の光と影の在り方に注意しました」と言う。「本当に画家的なプロセスでした」

The Dam Keeper Oscars
「ダム・キーパー」[提供: ロバート・コンドウ、堤大介]

ライティング デザイン分野における堤の経験が功を奏し、この環境寓話はデジタルで描かれた詩を影と色が渦巻き揺れ動く絵画のような印象を与えている。チームがピクサーで学んだプロセスにインスピレーションを受けたこのプロジェクトでは、伝統的な芸術性を生かすためにデジタル ワークフローを活用している。

セット プランの設計図を作成するプリプロダクションが Autodesk SketchBook Pro で、絵コンテは Avid で、アニメーションは Autodesk Maya でそれぞれ行われたが、彼らが「ワークブック ステージ」と呼ぶスケールとステージング手順ではセットとレイアウトは 3D でデザインされている。その後、アニメーターたちは TVPaint で作業し、イメージをフレーム単位で Photoshop に書き出して、ひとつひとつのイメージに筆を加えていった。

堤は、Photoshop の調整レイヤーを使用して光を描画するプロセスを開発した。このプロセスでは、色選択ではなくマットを使用する。注意をそらす原因となり得る色の分散を排除し、油絵画家が油絵の具で透明感や遮光感を演出する方法に似た方法で光をコントロールするのだ。

「光のアニメーションには細心の非常に注意を払いました」と、コンドウ氏。

また堤氏は、ピクサーで 3D を扱った経験が彼らのプロセスに役立ち、自身をよりよい画家にさせてくれたと言う。光について考察し、コンピューター プログラムでさまざまな光源を有効または無効に切り替えることができることから、Photoshop の調整レイヤーを使用し、透明度を透明度で調整するアイデアが生まれた。

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「ダム・キーパー」[提供: ロバート・コンドウ、堤大介]

約 70 名からなるクルーの指揮を執ること自体チャレンジだったが、インディペンデント映画プロデューサーであるコンドウ氏と堤氏にとって、真の成長の機会はストーリー作成にあった。映画の核心となるのは、物語の強力な横糸となる豚のキャラクター作りだ。重力に引き寄せられるオブジェクトのようなこのキャラクターは、綿密だが万人向けであるピクサーの語り口のスタイルへの敬意の表明にも見える。当時、彼らのオフィスがピクサーの向かいにあったことも、ストーリーを重要視せよというピクサーの教えを強固にした一因かもしれない。

語り口は非常に大きな懸案事項だったとコンドウ氏は話す。下書きを幾度となく行い、形になるまで5つもコンセプトを練り直した。新しいスタジオで経験したこの反復プロセスは産みの苦しみそのものであり、後に数々の映画祭で上映されオスカー ノミネートを受けるようになる、注目を浴びる作品作りの準備を整えるために必要な段階だった。

「なにより私たちがピクサーで学んだのは、さらに優れたストーリーを作るためなら、全てを反故にしてゼロからスタートできる能力、常に変更を加えることのできる力です」とコンドウ氏は言う。「成長はプロセスの重要な部分です。この作品は私たちが書き、監督した初の作品であり、不安な立場に置かれました。だから、同じようなリスクを取ることをよしとする人々と一緒に働くことが、私たちにとって重要なことだったのです」。

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