「コネクションの時代」の到来でデザインとクリエイションが一変する

by Phil Bernstein
- 2016年5月16日

テクノロジー業界においては、新たな発展は全てを「一変」させる「革命」をもたらすと考えられがちだ。テクノロジーには物議を醸す傾向があるから、それがあながち誇張であるとも言えない。

「革命」という言葉は、今日では特に適切なものだと言える。今や世界はこれまで以上に変化しつつある。デザインと制作の手法は進化し続けるのではなく、再び完全に崩壊しようとしている。我々は今、新しい (そして非常にリアルな)革命の最前線にいる。「コネクションの時代」がやって来たのだ。

今後、人々はどのようにデザインをおこない、ものづくりを行うようになるのだろう? 差し迫る大きな変化を理解するには、過去に目を向けることが有用だ。

まず「文書化の時代」があった。これはペンや紙、X-Acto ナイフ、木製のプロトタイプやモデルからCADへの移行だった。精密かつ正確な製図が初めて可能となり、ジオメトリやダイアグラム、テキストにより製図をリアルに共有できるようになった。ただしデザインに関する決定は直感と、旧来の個人的意見により行うしかなかった。最高の製図も、やはり図にしか過ぎないからだ。

1990年代中頃には「最適化の時代」が訪れた。ものづくりの世界は、CAD からデジタルモデリングと3Dへと移行する。デザインを文書で記録するだけでなく、実際にどのようなものになるのかをシミュレートし、分析するようになった。また、こうしたデジタルモデルによりデザインを評価し、大きく向上させられるようになった。

これが現在のプロセスだが、業界は「コネクションの時代」に移行しつつある。第2の時代にはデザインが機能することを確認できたが、第3の時代では、それが正しいデザインであることを確認できるようになる。もう独立した個別のアイテムだけをデザインする時代ではない。すべてがコネクトし、文脈の中で理解される。そうなるべきなのだ。「ビッグデータ」と「優れたデジタルモデル」の遭遇を想像すれば、この先を理解できるだろう。

崩壊はすでに始まっている。それに備えるべきなのだ。

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崩壊の兆候
それでは、デザインとものづくりの新たな時代の前兆として、何が起こっているのだろうか? その手がかりは強固かつ有力だ。

ものを生み出すための方法は、知的にも物理的にも変化しつつある。クラウドソーシングと、広大かつグローバルでオープンなコラボレーションは隆盛を極めている。知的財産 (IP) に対する姿勢も変わりつつある。イーロン・マスクをその最たる例として、発明家やデザイナーが特許やIP共有へのアクセスを開放し、あらゆる人々がその見解を分かち合いアイデアを競い合うことのできる、さらなる革新の推進を支援している。なぜ、こうした動きが盛んになっているのだろう? 莫大なコンピューティングと、クラウドやソーシャル、モバイルといったテクノロジーからのコンピューターアクセス量の増大により、アクセスとパワーが湧き出ている。勝者はアイデアを所有することではなく、最良のアイデアを実現することで決まる。

物的生産では、既に製造プロセスの民主化が本格的に進んでいるため、その可能性もエンドレスだ。3Dプリントやロボット、複合材料は (ごく一部の例に過ぎないが)、プロトタイプから部品開発、本格的な生産に至るまで、その勢いを大きく増している。分散型デジタルネットワークによって、よりフレキシブルなグローバル・サプライチェーンと、より容易なアクセスがもたらされている。クラウドファンディングとビッグデータにより、イノベーションを活性化する資本、つまり資金とアイデアが、これまで以上に利用できるようになっている。投資に関しても、ベンチャーキャピタルや起業、政府の決定をただ待つだけでなく、草の根レベルで可能となった。

崩壊のもうひとつのサインは、カスタマーが社会的に大きな力を得るようになったことであり、その兆候は数多くある。デジタルに精通した、莫大な数の新しい消費者階級が出現しつつある。彼らは何を、いつ欲しいのかを知っている。大抵の場合、提供側は消費者がそれを欲するときに提供することができる。また彼らは製品の生産工程や、その製品を選択することの影響にも関心を持っている。購入は、個人的なステートメントや忠誠心にも成り得る、新たなレベルの購買力なのだ。カスタマーは二酸化炭素排出量、(アフリカの紛争地域で産出され武器購入の資金源となっている)「血のダイヤ」、海外の工場における未成年労働者問題についても認識している。しっかりとした判断に基づく選択をしていると実感できるよう、企業の材料選択と生産工程に影響を与えるようになっている。

そして我々は、次第に (そして幸いなことに) 使い捨て社会から脱却しようとしている。製品は、弾性と品質に回帰する必要がある。消費者は電話に関して、新しいハードウェアを購入しなくてもソフトウェアによって機能が向上し、進化するものだと期待している。また購入する際にも、消費者は単なるデバイス以上のものを求めている。製品やサービス・プロバイダーと新しい関係を築くことを期待しているのだ。

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コネクションの時代に備えよ
「コネクションの時代」とは、人とテクノロジー、それらを取り巻く世界で広がり続けるネットワークに向けてデザインすることを意味する。人々は、クラウドソーシングやクラウドファンディング、ソーシャル・ネットワーク、モバイルなどを通じて互いにコネクトする。彼らはテクノロジーに、テクノロジーはテクノロジーへとコネクトし、テクノロジーは周囲の環境を感知して、その情報を人々へ戻す。果てしない量のビッグデータとコンピューターパワーへのアクセスが拡大することで、こうしたコネクションへ、より適切な情報が届けられるようになる。

この新しい世界では、市場勢力図は大きく変わる。誰もが巨人を倒すことができるのだ。それが具体的に意味するのは? 例えば自動車を作る小さな製造メーカー。あるいは、タイの高層ビルをひとりで設計する建築家。資本や才能、処理能力へのアクセスが強化されることで、あらゆるサイズの組織に素晴らしい新世界が訪れるのだ。パワー・バランスは変わりつつある。その地位を確立した大企業ではなく、本物のイノベーターへとバランスが移りつつあるのだ。

コネクションとモノのインターネットのこうした循環は、氷山の一角に過ぎない。現在のような形態によるハードウェアとソフトウェアはやがて消えゆき、それが高層ビルであろうと電化製品であろうと、完全に統合された製品へと移行していくに違いない。

デザインが重要な役割を果たすようになる。そのときに備えるべきだ。

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