モットマクドナルドが描くチェサピーク・ベイブリッジ・トンネル建設のビジョン

by Zach Mortice
- 2018年1月18日
ティンブル・ショール トンネル 建設 ェサピーク・ベイブリッジ・トンネル

2019 年初め、米ヴァージニア州チェサピーク湾の海底を、フットボール競技場ほどの長さのトンネル ボーリング マシン (TBM) が掘削し始める。

このマシンは、Virginian-Pilot によると (英文)、直径 12.8 m のトンネルを 1 日約 18 m の速度で掘り進め、その最深部は海面下 32 m に達する。この巨大なマシンが 38.2 万立方 m (編注: 東京ドームの約 1/3.4 の容積) の土砂を掘り起こすことで生まれる 2 車線のチェサピーク・ベイブリッジ・トンネルが、ヴァージニア・ビーチとヴァージニア、メリーランド、デラウェアの 3 州をまたぐデルマーヴァ半島を接続。新たなトンネルは、ティンブル・ショール運河の下を走る既存のトンネルと並行することになる。

このチェサピーク・ベイブリッジ・トンネル委員会 (Chesapeake Bay Bridge-Tunnel Commission’s) によるティンブル・ショール並進トンネル・プロジェクト (2022 年完成予定) により、南方向に 2 車線が追加され、トンネル全体の交通量が 2 倍に拡張。2 車線の現トンネルは、北方向専用となる。


この予算 7 億 5,600 万ドル (約 837 億円) のトンネルを設計した多国籍エンジニアリング会社のモットマクドナルドは、Dragados USASchiavone Construction Company とパートナーシップ提携を結んでいる。デザインビルド方式の複雑なプロジェクトであり、その課題には、重要な軍事インフラが密集するエリアで混乱を最小限に抑える建設プロセスの構築、統合されたデザインビルド チームとコミュニティの利害関係者へトンネル工事の進捗をビジュアルで提供することが含まれている。

邪魔にならないための配慮

トンネル ボーリング マシンを用いた建設手法は、最もシンプルな解決策ではないにしても、混乱の緩和に役立つだろう。トンネル掘削は地下で行われるため、悪天候や自然の影響への対応が制限され、海運航路に混乱を招くようなインフラの要求も抑えられる。だが、モットマクドナルドのシニア スペシャリストで、このプロジェクトのテクノロジー マネージャーを務めるジョン・セルヴェディオ氏は「主にケーソンを水中に沈めるだけの沈埋トンネルに比べると、地下工事は複雑性が大幅に高まります」と話す。

混乱を最小限に抑えるとは、建設作業中、約 32 kmにわたる橋と既存のトンネルの交通の流れを、できるだけスムーズに維持することを意味する。このためモットマクドナルドは、橋とトンネル上の高速道路閉鎖を 1 車線に制限し、作業は可能な限り夜間に行おうと計画している。現在、エンジニアリング チームは Navisworks を使用して交通への影響のシミュレーションと反復を行い、混乱を最小限に抑えるには計画をどう進めていくべきかの決定を進めている。交通管理計画が作成された後、チームはシミュレーション結果を 3ds Max でレンダリングする。

こうして作成された 3D モデルを使用することで、チームは「車線を封鎖することで、このような状況になり、それが交通にはこうした影響を与えると考えられます」と説明できるようになる、とセルヴェディオ氏は話す。「その後、必要に応じて変更を加えてモデルを再作成し、関係者全員の懸念事項が正しく考慮されているかどうかを確認できます」。

新トンネル完成時の目標は、Virginian-Pilot によれば、交通の改善というよりも、大規模な交通事故や災害で 1 本のトンネルがふさがれた場合を想定した、安全対策の多重化となる。だが、そうであったとしても、モットマクドナルドのエンジニアたちは新たなトンネルとその交通容量を必要に応じて追加拡張できるよう「将来を考慮して業務に取り組む」と、セルヴェディオ氏は話す。モットマクドナルドは建設が生態系へ及ぼす影響も考慮しており、新トンネルと高速道路拡張の海洋生物と陸生動植物への影響をモデル化した環境報告書を作成している。

プロセスを掘り下げる

トンネル建設に備え、モットマクドナルドの担当者たちは、エリアの一端を掘削して水をくみ出し、ドックに材料や設備を配置できるようにした。トンネル ボーリング マシンが地中に設置されると、水力軸がボーリング マシンを前進させ、マシンに取り付けられた回転するカッター ホイールで掘削された土砂は、コンベヤー ベルトでトンネルの外へと運び出される。それと同時に、トンネル表面をリング状に覆う 9,000 枚のコンクリート板がトロッコで運び込まれ、ロボットによって組み立てられる。最後に、コンクリートのリングの外側がグラウトで密封されて、土や水漏れからコンクリートを保護する。

モットマクドナルドは土壌の質や構成を検証し、地層情報を AutoCAD Civil 3D でまとめた。この情報はその後、地質工学関連の報告書と、完全な掘削孔データの作成に使用された。「この情報によって、プロジェクト全体のより詳細で正確な土壌データを構築できました」と、セルヴェディオ氏。「それは [Civil 3D の] 掘削孔プラグインを使い、現場調査の結果から構築したものです」。

オープンなコラボレーション

新しいチェサピーク・ベイブリッジ・トンネルは当局、公共、産業など多数の関係者が参画する大規模プロジェクトであるため、進行手順のビジュアライゼーションが重要なものになった。

セルヴェディオ氏によると、チームは「施工会社や関係当局に建設手順を説明し、これから建設する換気設備の外観を理解させるため」に 3ds Max を使用。「このソフトウェアでアニメーションを作成できるため、施工会社とチームは、トンネル ボーリング マシンが地中をどう掘り進むのかという点から、支持構造のためのインフラ構築が開始される地点で何をどのように組み立てるのかというところまでを、より明確に理解できます」。このアニメーションは、建設の景観への影響を憂慮する近隣住民の不安を和らげるのには、特に有益だった。


設計施工チームのメンバー全員による情報共有が当初から最大の懸案事項だったと、セルヴェディオ氏は話す。「社内ではコラボレーションに関して、全員がオープンドア ポリシーを守っています。情報網から隔絶されている人はいません。それは、週 1 – 2 回ヴァージニア州との間を飛行機で行き来しているプロジェクト マネージャーであっても同じです」。

設計施工のパートナーシップにより、施工会社からタイムリーで正確なフィードバックを得ることがずっと簡単になると、セルヴェディオ氏は話す。「デザイン上の試みが実際に機能するかどうかを判断できる点は、事業計画の実施という視点から、非常に大きなメリットが得られます」。

チームは Civil 3D と Revit を使用し、各チームメンバーが担当するさまざまなプロジェクト部分を明確にするための図表を作成した。セルヴェディオ氏によると、チームは「自分は配管担当なのだけど、これはトンネル内部の配管のこと? それともアプローチ構造物の配管? 換気設備の配管?」というような質問を受けることが多いという。スタッフ メンバー間のコラボレーションを促すのに、この図表が役立った。プロジェクトの特定の部分や、それに関連するシステムについて、誰と話をすべきかが明確になったからだ。

「デザインの決定に、施工会社のフィードバックがとても役立ちました。その要素を建設するのは最終的には施工会社であり、今後その種の業務の提供がどのような形になるのかを把握しているのも施工会社だからです」と、セルヴェディオ氏。「施工会社から建設方法に関するフィードバックが得られれば、実際のデザイン構想はそのままに、その建築方法に合わせてデザインを進めることが、より簡単になります」。

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