リアル ライフ: ビジュアルを活用するバーチャル コンストラクション エンジニア、Sundt のエリック・キルウィック氏

by Rich Thomas
- 2017年6月15日
バーチャル コンストラクション エンジニア
Images Courtesy Sundt and Eric Cylwik

建設会社の Sundt は、鉱業、産業から商業、政治、そしてヘルスケアまで、あらゆる分野で確固とした地盤を築いている。これほどまでに広範に、しかも大規模な橋梁のプロジェクトのように潜在的な影響力を持った事業を展開する Sundt は、バーチャル コンストラクションをを生産性の向上とリスクの最小化に不可欠なものだと認識している。

今回は、この Sundt の輸送部門で業務に携わるバーチャル コンストラクション エンジニアのエリック・キルウィック氏にご登場いただこう。キルウィック氏はアリゾナ州立大学卒で、BIM (ビルディング インフォメーション モデリング) を魔術師のごとく自在に操ることができる人物だ。「取得した学位はデザインで、デジタル ビジュアライゼーションに重点を置いたものでした」と、キルウィック氏。「この学位でデジタル ビジュアライゼーションが強調されている理由は、学生がデザインを学んだ後、デザイン コンセプトの視覚化に役立つ 3D デジタル アートのクラスを取ることを想定しているからです」。

virtual construction engineer Sellwood Bridge
完成したセルウッド橋の外観 [提供: Sundt]

幼い頃から 3D モデルの作成に魅力を感じていたキルウィック氏だが、キャリアとしての第一志望は建設ではなかった。ゲーム業界に進みたかったのだ。「テレビ業界のあるイベントに参加したのですが、そこでアニメーターやアーティストたちがゲーム制作にどれほどの時間を費やしているのかを聞いて、それをやったところで自分にとってプラスになるわけではないかもしれない、と気付いたんです」と、キルウィック氏。「その当時は資質評価方式 (QBS) がアリゾナ州の市場にも浸透しつつあった時期で、プロジェクト インタビュー用の 3D ビジュアル作成担当として Sundt で職を得ました」。それは、どちらにとっても最良の出来事だった。

このインタビューで、キルウィック氏は Sundt での自身の役割と、バーチャル エンジニアリングが建設業界をどのように変化させているのかを語っている。

業務のうち、この分野にかける時間の割合は?
20% の時間を割り当てています。私の任務は事業開発、プリコンストラクション、現場管理支援と多岐に及んでいますが、それは非常に恵まれたことだと思います。事業開発の業務は通常、アリゾナ州テンピにある Sundt のオフィスからスタートします。その後、最終段階の数週間にわたって、プレゼンテーション チームと共にグラフィクスを完成させ、Sundt がどうテクノロジーを使用しているのかを伝える手助けを行います。弊社のプリコンストラクション チームはモデルベースの部材数量管理を活用しており、そのサポートはすべて Sundt のいずれかのオフィスで行われます。オペレーション モデリングはオフィスで完了しますが、主要部分のモデルの内容についてはチームで話し合いが行われます。Sundt が着工する前に、形状的に正確な、プロジェクト全体の 3D モデルを作成しておきたいのです。

担当する仕事で最も大変なところは?
Sundt 内で、テクノロジーを中心とした文化のシフトを育むことです。Sundt は業界トップの施工会社のひとつですが、毎日新しいソフトウェアを学ぶことが目標ではありません。テクノロジーを活用して、その価値を余すところなく引き出す人もいれば、至るところでそれに抵抗する人もいます。Sundt では、どのプロジェクト チームでも一貫した建設体験を提供できるように努力しているため、新たなテクノロジーを実装する際には、その価値が全員に伝わるまでに時間がかかります。プロジェクト チームがテクノロジーを理解し、それを首尾良く使用でき、その潜在的価値を理解できるよう支援するには、間違いなく熟練が要求されます。

では逆に、このところの業務をやりやすくしているものは?
米国連邦高速道路局の「Every Day Counts」(EDC) イニシアチブは、施工会社にとって大きな助けとなっています。EDC の第 2 ラウンドで、3D モデリングは最重要フォーカスに選ばれています。彼らはトレーニング内容と基準を開発し、同業者交流をオーガナイズし、輸送プロジェクトにおける 3D モデリングの利点について意見を交わすオンラインセミナーやカンファレンスを開催しました。この取り組みは米国内の州運輸局 (DOT) により、広範に、かつ深く採用されるようになりました。DOT がこのテクノロジーを活用するようになるにつれ、デザイン コンサルタントや建設施工会社は皆、3D モデリングが彼らのワークフローで意味するところを分析するようになっています。

virtual construction engineer underside of Sell Bridge
完成したセルウッド橋を下から見た様子 [提供: Sundt]

プロジェクトを計画し、その計画をコミュニティに伝えるのにビジュアルを使用する Sundt の手法を、実例を挙げて紹介いただけますか?
オレゴン州ポートランドのセルウッド橋プロジェクトは、その好例です。セルウッド橋のプロジェクトでは、Autodesk AutoCAD Civil 3D3ds MaxRevitNavisworks Simulate を使用しました。Sundt は、Civil 3D を使用して車道、橋、現場の変更部分の初期コンセプト画をモデリングすることにより、エンジニアリングを重視した環境において、デザインの意図を正確に再現できました。これはつまり、モデルが形状的に正確で、正しい配置であることを意味します。幅広いオーディエンスに正確なストーリーを伝える上で、重要なことです。

提案されている条件を Civil 3D 内でモデリングした後、Sundt は協力会社に、橋全体と周辺エリアの 3D レーザー スキャンを依頼しました。このレーザー スキャンはモデリング環境に簡単に取り込むことができ、Sundt は実世界の状態を 3ds Max と Revit 内でモデリングするための骨組みにそれを使用しました。3ds Max は現場の状態 (樹木や一般的な地形) のモデリング、Revit は既存の橋の構造のモデリングに使用しています。

既存の橋と、提案されている橋のモデルが完成したら、両方を Navisworks にインポートしました。Navisworks で、Sundt はモデル構成要素をプロジェクトの Primavera P6 スケジュールのスケジュール アイテムにリンクさせました。このモデリング プロセスは、先進のエンジニアリング機能と映画並みの品質の視覚化モデリングを結び付け、実際の日程に基づくアニメーションを生成します。これ以外の方法で最終産物を得ようとすると効率が悪くなり、チームのメッセージを誤解させるような憶測が生じてしまいます。

ポータブル技術とモバイルの担当者が仕事に与えている影響について、あなたの考えをお聞かせください。
モバイル技術により、ユーザーは、 BIM をクエリして実行可能な情報を取得できるようになっています。この情報は、今すぐ決断する必要のある事柄をユーザーに伝えます。例えば配管担当のクルーに、スケジュールに間に合わせられるよう手元のパーツを使って 60 cm 短いものにするか、スケジュールを遅らせて追加パーツが到着するまで待つのかどうかを決定する必要があったとします。それを今では、ひとつのモバイル アプリケーションを開いて、配管を短縮した場合の潜在的な影響について該当エリアを検証し、その変更を記録してチーム メンバーに伝えることができます。こうした決定は、これまであまり深く考えられずに、また大抵は記録されることもなく行われていました。こうしたワークフローは、業界による大規模建設プロジェクトの実践に大きな変革をもたらします。これは予算とスケジュールの枠内で、パーフェクトな環境を構築しようとする試みなのです。

Redshift の「リアル ライフ」シリーズは、建築家やエンジニア、施工業者、デザイナー、その他のクリエイター/メイカーの取り組みや成功例、現実について話を聞いています。

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