フォード・モーター・カンパニーが VR によるプロトタイピングでカー デザインを再発明

by Elizabeth Baron
- 2016年3月8日
提供: フォード・モーター・カンパニー

未来を導く最良のガイドは、大抵は過去を見ることで得られる。より優れたデザインとグローバルなコラボレーションのため、フォードでバーチャルリアリティによる新たなプロトタイピング・プラットフォームとラボを生み出す際、私が 3 人の賢者たちからインスピレーションを受けた理由もそこにある。

その最初の人物、アリストテレスの有名な言葉に「芸術が目指すのは、ものの外見でなく、その内にある本質である」というものがある。これは我々が集め、解釈する全てのデータを思い起こさせる。それはフォードの車を購入し、時を共にする顧客にどのような意味をもたらすか、という観点から見るべきだということだ。全てを顧客中心に考えるということを、常に心に留めておく必要がある。

二人目の賢者、アインシュタインは「そこには直感があるのみで、それは外観の背後に隠された順番を感じ取ることが役立つ」と述べた。全てには意味があり、特定の正しい順番であるべきである。正しく行われた際に、それを見て取ることができる。

virtual_reality_prototyping_elizabeth_baron
エリザベス・バロン氏 [提供: フォード・モーター・カンパニー]

そしてウィトルウィウスは、私のインスピレーションを「美とは、外観が快く典雅であり、各部分の寸法が適切な比例関係にあることで生まれる」と締めくくる。適切であり機能するのであれば、そこには自然な対称形で、その意図を理解できるものが存在する。

これら不滅の賢者たち3名の言葉は、FIVE (Ford Immersive Vehicle Environment) 開発における重要なガイドとなった。フォードのチームは、4 年前にはプリビズ・ツールを使い、ユーザーの視野を 46 インチの TV へ表示していた。Autodesk VRED 3D 表示ソフトウェアを活用する新しい FIVE は、バーチャル空間で素晴らしいリアリズムを提供し、エンジニアリングやデザイン、エルゴノミクスやその他多くの用例を全体像として見ることができる。

今や事前に計算された光と影を変換したり高価な物理モデルを組み上げたりする代わりに、VRヘッドセットを身につけることで車のデザインをフルに体験できる。例えば本物のハンドルを握り、その他の重要なコンポーネントやスイッチを物理世界で追加して、物理世界をバーチャルな世界へマッチさせる。こうすることで、スイッチに手を伸ばせば物理的に感じられ、それを正しくレンダリングされた美しいバーチャルな車の中に見ることができる。比率とデザインを認識でき、車内のインテリアコントロールの適切な配置を感じることが可能だ。

しかし、なぜフォードは FIVE を必要としたのだろう? それがデザインと開発のプロセスへ、どう役立つのだろうか? それは個人、つまり顧客だけでなくデベロッパーやエンジニア、デザイナーで始まった。

FIVE ラボの内部 [提供: Ford Motor Company]
FIVE ラボの内部 [提供: フォード・モーター・カンパニー]

キューを得る
FIVE は素晴らしい仮想体験を生み出すだけでなく、光と影の相関関係や視覚と物理的なキューを脳がどう認識するかに関する知識も盛り込む必要があった。木工を手がけている夫が以前、見えない場合もある木材の問題点をどう感じるかを語ってくれたことがある。これは非常に重要だ。計算データだけでは正しく表現されないこともあるので、FIVE は物理世界と仮想世界の両方を提供する必要がある。我々の認識と現実が、同じことを同じように体験するとは限らない。

また FIVE は現実の認識を変えることができる。それにより、自分たちより背の高い人や低い人の視点で車を体験することが可能となる。特定の車の中で、彼らの視点から見ることができる。もはや自分だけでなく、ユニバーサルな現実なのだ。

デザインエンジンにとってのキーとなるコラボレーション
FIVE は魅力的なレベルのコラボレーションを育成する。別の大陸にいる人たちが同じモデルへ、同時に没入可能だ。会話をして、何が起こっているかを正しく理解し、様々な分野で車の健全性を確認できる。

オートデスクの「Design Night Detroit: Fast Lane to the Future」でバーチャルリアリティと拡張現実の未来について語るエリザベス・バロン氏の動画

エンジアリング的な整合性を確認したり、特定の問題の状況を評価する表を使って成果を検討したりするだけではない。その状況を簡単に理解して、修正が必要かどうかを決定することができる。これはエンジニアの実践と顧客の声を組み合わせているということだ。常に誰かの視点で見ることにより、顧客を前面に出して全てを見渡し、それを繰り返す。

また製品開発のプロセスのあらゆる時点でバリエーションと車体の外観を確認することで、素晴らしいデザインに製造プロセスを組み込むことが可能になる。代案に切り替えることもでき、それにより地球上の誰もが厳重かつ反応に優れた方法で、リアルタイムでコラボレーションを行える。

デザインとエンジニアリングの収束する場所
フォードは巨大な世界企業であり、そのコミュニケーション量と FIVE で行っている方法を拡張している最中だ。強烈な、セクシーな、あるいはクールな美しいフォルムと素晴らしいシェイプを生み出しているアーティストが、ボディ構造を担当し、その使用される状況下での車体のパフォーマンスを懸念するエンジニアと話すことができるようになっている。

virtual_reality_prototyping_ford_five_demo
FIVE をデモするエリザベス・バロン氏 [提供: フォード・モーター・カンパニー]

全く別の世界で生きているアーティストとエンジニアが、非常に効果的かつ洞察力に富んだ会話を行って、コミュニケーションすることが可能になった。FIVE 環境は、その両者が関係を結び、理解できるものを提供している。VREDによってフォードは適切なデータを、適切な場所にいる適切な人へ、適切な文脈で提供できる。

これによって文化が変わる。様々なチームの人達全てが、異なる考え方でものを見る。過去においては、会議室のテーブルを取り囲んで PowerPoint をレビューしていた。ミーティングの最中に椅子から立ち上がり、たとえ関連していたとしても主題から外れた質問をすることは社会的に許されなかった。

だが FIVE により、それが本当に可能となった。そこに参加して、ジョーに話す必要があれば「これをチェックしてみてよ。この部分に心配はあるかな?」と言える。これは、コミュニケーションが根本から変革され、チーム構築や仕事の方法にも大きな影響を与える文化の変化だ。

これは全く予測していなかったことだが、素晴らしいことだ。そして成長を続けている。毎日、ラボに立ち寄るごとに、それが進行していることに興奮している。FIVE の本当のパワーは、それが全体論だということだ。誰もが参加でき、誰もが最終製品である、我々の作る美しい車を理解できる。これは素晴らしいことだ。

関連記事