自然界からヒントを得た壁ジャンプするロボット Salto

by ENGINEERING.com
- 2017年3月9日
ジャンプするロボット Salto
[提供: Stephen McNally/UC Berkeley]

高くジャンプするロボットを開発しようとするなら、ジャンプの得意な動物に目を向けるのは当然だ。彼らの身体は、その目的に合う作りになっているのだから。

Salto (SAltatorial Locomotion on Terrain Obstacles: 「地形障害物上の跳躍運動」の略) の場合、そのパルクールの腕前はガラゴ科の動物 (ブッシュベイビーの名で知られるショウガラゴが有名) から発想を得たものだ。

jumping robot salto in action
カリフォルニア大学バークレー校のジャンプするロボット、Salto [提供: Stephen McNally/UC Berkeley]

カリフォルニア大学バークレー校のエンジニアたちは、腱にエネルギーを蓄えることで整復の動作なしに複数回のジャンプを行える、ガラゴの能力を再現するロボットを構築した。ロボットのジャンプ能力を正確に検証するため、研究者たちは、垂直方向の敏捷性を計測する新たな測定基準を開発。これは地球の重力で 1 回のジャンプで到達可能な高さに、実行可能なジャンプの回数を乗じた数値で定義される。

カリフォルニア大学バークレー校のロボット工学博士課程で学ぶ学生で、開発を指揮したダンカン・ホールダン氏は「Salto のデザインにおいては、垂直方向の敏捷性を簡単に計測するための測定基準を開発することが重要でした。それにより、ジャンプの敏捷性に従って動物をランク付けし、インスピレーションが得られそうな種を特定できるからです」と話す。

ロボットである Salto の垂直ジャンプ能力は 毎秒 1.75 m で、これはウシガエルの 1.71 m を上回るが、ガラゴの 2.24 m には届かない。

Salto の重量はわずか 100 g、全身を伸ばした状態での全長は 26 cm で、最高 1 m までジャンプ可能だ。壁ジャンプでは、Salto は平均 1.21 m を達成している。

ガラゴは、生まれつき持つ力の調整機能によりジャンプする能力を獲得している。身をかがめる態勢を取る際に筋肉を用いて腱にエネルギーを蓄えることで、ジャンプ時の最大出力を増大させられのだ。これにより、筋肉だけを使用する場合より高いジャンプ、さらには 4 秒間に 5 回のジャンプが可能となり、合わせて 8.5 m の高さになる。

Salto は、ガラゴの垂直ジャンプ能力の 78 % を達成している。研究者によれば、モーターの動力の限界のため、Salto 以前のロボットでは、ガラゴの垂直ジャンプ能力の 55 % しか達成できなかった。

jumping robot salto
Salto は 毎秒 1.75 m の垂直ジャンプができる [提供: Stephen McNally/UC Berkeley]

電気工学、計算機科学の教授を務めるロナルド・フィアリング氏は「生物学にインスパイアされたデザインの原理と、進歩した工学技術を組み合わせることで、動物の敏捷性に匹敵するロボットの登場も遠い先のことではなくなるかもしれません」と話している。

垂直敏捷性を測るこの新たな測定基準で、他のジャンプするロボットが Salto の水準に達しているのかどうか、興味深い。テルアビブ大学の TAUB、Boston Dynamics の SandFlea は、どちらもロボットによるジャンプ記録の強力な対抗馬であり、単独ジャンプの高さで素晴らしい記録を示している。

このチームの研究結果は「Science Robotics」誌の創刊号で発表された。研究は、Micro Autonomous Systems and TechnologyCollaborative Technology Alliance の下で、アメリカ陸軍研究所 (U.S. Army Research Laboratory)National Science Foundation の後援を受けて行われた。

この記事は Shane Laros の執筆によるものです。オリジナルの記事は Engineering.com に掲載されています。

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