想像を超える 3D プリントの可能性: 2016 年のストーリー 8 選

by Brandon Au
- 2017年1月10日
3D プリント 2016 ヘッダー
提供: Dr. Marki Sugimoto, Transition Hair Solutions, Airbus, CEIT Biomedical Engineering, 3dChef and Under Armour.

この 1 年間、3D プリントは畏敬の念を起こさせる方向へと進化している。創造の限界が押し広げられ、アディティブ マニュファクチャリングの新たな手法や利用法が発見されてきた。今回取り上げる 2016 年の魅力的な 8 つのストーリーは、医療や食物、美容、建設、製造における 3D プリントの可能性を示すものだ。

1. 難民向けの住宅
建築家パトリシア・アンドラシク氏はイラク難民に、単なるシェルターでない住環境を提供することへ意欲的に取り組んでいる。真のホームになり得る、サステナブルな居住空間ソリューションを生み出そうとしているのだ。巨大な 3D プリンターを使用して粘土やセメントからプレファブリケーション住宅を製造する中国の企業と同様、アンドラシク氏も 3D プリントを活用している。3D プリントは「コントロールされた環境で作業を行え、この新しい技術に関する情報を人々に提供し、参加させることを可能にする」からだ。

そして、その地域の独特な文化生態や環境、気候条件も考慮しながら、ホームを現況に統合している。彼女は住居のみならず、機会も提供したいと願っている。「私の最終的な目的は、とてもシンプルです。それは構築された環境で家族が快適に感じ、幸せでサステナブルな生活を送れるということです。たとえ、どんな場所にいたとしても」。

3D プリント シューズ Under Armour Architech アンダーアーマー テスト
UA Architech のメカニカル テスト [提供: Under Armour]

2. アンダーアーマーのカスタム シューズ
アンダーアーマーでデザイン、製造イノベーション部門のディレクターを務めるアラン・ガイアン氏は、自然界から得たインスピレーションによりフットウェアの未来を再定義した。ジェネレーティブ デザイン ソフトウェアを使用して、初めての 3D プリント製パフォーマンス トレーニング シューズを製造したのだ。

「このユニークなフットウェアの作成に 3D プリントを使ったのには、理由があります」と、ガイアン氏は説明する。「まず、ラティス (格子状) 構造は 3D プリントでなければ実現できません。それに、従来の手法では作成できないものを作るのは、とてもエキサイティングなことでもあります。相関関係の異なるパーツや種類の異なるパーツ、異なる種類の構造をひとつにまとめ、反復と失敗を繰り返すことで成功にたどり着きます。3D プリントは、カスタマイゼーションの可能性が無限なのもユニークな点ですね」。

チタン 3D プリント インプラント CEIT Biomedical Engineering
患者の顎顔面骨組織の 86% を復元した CEIT のチタン 3D プリント製インプラント [提供: CEIT Biomedical Engineering]

3. チタン製医療用インプラント
ブエノスアイレスを拠点とする Novax DMA、スロバキア・ブラチスラヴァの CEIT Biomedical Engineering は、3D プリントで遺伝、事故や病気による状態を改善するカスタムのチタン製外科インプラントの製造により医師をサポートしている。医師たちは、より軽量で持ちのいい複雑な自由形状や表面を作成できるだけでなく、密度のコントロールもできるようになった。これは多孔質インプラントの成功率向上に役立っている。

バイオニック デザイン パーティション エアバス
バイオニック デザインによりパーティションが形作られる [提供: Airbus]

4. エアバスのバイオニック パーティション
エアバスは、ジェネレーティブ デザイン ソフトウェアと 3D プリントを活用してバイオニック パーティションを製造。このパーティションは粘菌の特性を基に作成されており、以前より 45% も軽量化されている。

ニューヨークを拠点に活動する建築事務所 The Living と提携し、エアバスは 3 種類の異なるアディティブ マニュファクチャリング システムを使ってパーティションを製作。この軽量パーティションは燃料を大幅に削減して二酸化炭素排出量を抑えることができ、将来的にはフル 3D プリント製の翼が実現する可能性も予言するものだ。

3d プリント フード 3Digital Cooks 3dChef gif
[提供: 3Digital Cooks]

5. 新たなフード
3D プリント フードの未来は、Beehex, Inc. のアンジャン・コントラクター氏とジョーダン・フレンチ氏、3Digital Cooks のジェイソン・モスブルッカー氏とルイス・ロドリゲス氏、研究者であるソニア・ホランド氏とキエルト・ファンボメル博士にとっては、単なるつかの間の流行ではない。彼らイノベーターには、それはスペースと時間を節約しつつ無駄を削減する新たな食体験を生み出し、新たなダイエット フードなどを製造することを意味する。モスブルッカー氏が思い描くのは、「ウェアラブルが冷蔵庫、冷蔵庫がオーブン、オーブンが 3D フード プリンターとコミュニケート」して、起床時や仕事からの帰宅時に、栄養面が最適化された食事が用意されている未来だ。

3D プリント 美容 マーリン マムフォード
義髪ヘアピース装着前後のマーリン・マムフォードさん [提供: Transitions Hair Solutions]

6. 美の復元
美容界では、イタリア企業 Cesare Ragazzi Laboratories が、脱毛に悩む人々のためのカスタム ヘア ピースを 3D プリントする手法を見出した。訓練を受けたスタイリストとの面会、頭部のデジタル モデルの作成、頭部の 3D レプリカのプリント、通気性に優れた皮膜の製造、人毛の縫い付けなど全 39 工程を経て、クライアントはまるで自分の髪のような見た目と手触り、動きのカスタム ヘアピースを手にする。「クライアントは、生まれ変わったかのようですね」と、CNC スタイリストのダニエル・グリロ氏。「笑顔が生まれ、ハッピーになります。かつての自分を取り戻せるのです」。

7. スマート医薬品
GSK グラクソ・スミスクライン テクノロジー探求部門ディレクターのマーティン・ウォレス氏は、医薬品の未来と、研究開発の生産性向上や患者への新たな便益の提供に、3D プリントがどう役立つのかを語る。新たな技術は、組織標本をプリントすることで動物実験の必要性を減らし、オーダーメイド医薬品をプリントすることでサプライ チェーンを簡略化して、「薬をさまざまな形で提供できるよう、複雑な形状や表面で成形する」ことを可能にすると言う。錠剤の表面をコントロールすることは、成分含量の調整や放出速度の変更、薬の味のマスキングに利用できる。

bio-texture modeling header 心臓
3D プリントで作成された心臓の模型 [提供: 杉本真樹氏]

8. 臓器模型
杉本真樹医師はモバイル機器、3D プリンター、VR を医療分野にもたらすことに精通している。3D イメージングを用いた彼の取り組みは、触感や大きさ、質感を正確に再現した、本物そっくりの臓器模型を 3D プリントする「生体質感造形 (Bio-Texture Modeling® および BIOTEXTURE®」と呼ばれる手法の開発へと至った。臓器模型を用いることで、患者は診断の理解度を向上でき、外科医はモデルを利用することで開腹前に臓器の情報を得ることができる。

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