IoT とは、そしてそれがデザインに意味することは? ヒント: スマートなサーモスタット以上の存在

by Diego Tamburini
- 2014年10月13日

3D プリントというテクノロジー界の流行語が、新たにメディアの寵児となるのだろうか? 確かにそのように見える。IoT (モノのインターネット) に対する、この熱気はいったい何なのだろうか?

モバイル デバイスやテレビ、冷蔵庫などの製品をインターネットに接続するというアイデアはそれほど革新的なものではないが、多数の日用品を新たにインターネットへ接続することの巨大な可能性と、それにより実現する見たことのないシナリオが IoT の成長を加速している。

デバイスは、もはや単なるデバイスではない。ユーザーとその環境や振る舞い、好みなど、あらゆるもののデータを収集するプラットフォームになりつつある。そして、その全てをビッグデータ マシンに供給して、これまで目にしたことのない全く新たなデータセットを作り上げている。センサーは大幅に低価格化が進み、生産に利用しやすくなっているから、IoT の流行に加わることができる。

インターネットが人々によって作成されたデータを扱うのに対して、IoT はモノが作成したデータを扱う。

IoT デバイスとは何なのか?
Nest (Google に32億ドルで買収された) の家庭用サーモスタットは、家庭用 IoT デバイスとして最も言及されることの多い製品のひとつだ。そのシンプルさこそが優れた点だと言える。このおなじみの家庭用サーモスタットは、モバイル デバイスを通じてコントロール可能で、ユーザーがその場を去るとそれを感知し、ユーザーの好みの温度を学んでコストとエネルギーを節約できる。

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提供: Nest

Acquity Groupが行った調査によると「ネットワークでつながるテクノロジーへの消費者の乗り換えは上昇傾向にあり、今後 5 年間に 69% の消費者が家庭用デバイスの購入を計画している。来年末までには 13% の消費者が、サーモスタットや家庭用セキュリティカメラなどの家庭用 IoT デバイスを所有するようになっているだろう。現在、このようなデバイスを所有しているのは調査対象のわずか 4% だ」。

だが、これはほんの始まりに過ぎない。ウェアラブル分野は大きく成長している。Juniper Research は「スマート ウオッチやスマート グラスなどのウェアラブルなスマート デバイスの小売収益は、今年は14 億ドルだが 2018 年までに 190 億ドルに達するものと見られる」と予測している。FitbitBodyGuardian、さらにはラルフローレンのバイタルサインを読み取るセンサーを埋め込んだ T シャツまで、テクノロジーは付属物というより、むしろ身体の一部になりつつある。もうすぐ入手可能となる Apple Watch も、このトレンドを後押しするだろうと期待されている。

乳児でさえ、ベビーモニター (実際には センサーを搭載したカバーオール) の Mimo を通じてつながるようになっている。呼吸や体温、睡眠状態をモニターして、親の電話にデータを送り続ける。さらに、高温の車内に置き去りにされた子供が死亡する悲劇をなくす、重要な研究と IoT 製品の開発も行われている。

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Brandon Au

コンシューマ市場向けの応用が注目を集める一方で、保険や輸送、製造、公共事業、政府、銀行業、医療の業界に特化した戦略的な製品も、その立場を強固なものにしつつある。

たとえば最近まで 現場のマシン同士や中央工場の「ブレーン」にのみプライベート・ネットワークでつながっているのが普通だった製造現場のマシンも今ではインターネットに「曝され」るようになり、起こる可能性のある不具合を予測するための重要箇所をモニタリング、不具合が生じる前の事前メンテナンス・サービスの提供など、さまざまなサービスが可能となった。

別の例として、GE の新しい風力タービンは風力や風向、気圧のデータを収集して、最適な向きと羽根のピッチ角を決定する。さらには他のタービンと「会話」を行い、「共同体」全体として最大限の出力が得られるように設定を最適化できる。全てのコミュニケーションと意志決定をマシンが行うため、人の手を介入させる必要はない。

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デザインの好機
デザイナーにとっては、これは控えめに言っても大きなチャンスだ。IDC のレポートによると、2020 年までに 300 億のモノがインターネットへ接続するようになり、その年の IoT による収益は 8.9 兆ドルに到達する見込みだ。これだけののモノを、誰かがデザインしなければならないわけだ…。

想像さえできれば、それをつなぐことができるようになる日が近いうちに来る。だが今のところは、デザインはこれまで以上にソフトウェア開発やデータ分析と緊密に連携する必要があるだろう。デザイナーは接続性を念頭に置いた新しい視点を最初から持ち、エレクトロニクスとソフトウェアがどう組み合わさり相互作用するのかを見直すべきだ。この組み合わせが万全でなければ、IoT はその可能性を最大限に発揮することはできない。

我々が目にするモノ、触れるモノの全てに IoT の機会はある。黎明期のインターネットなど、新たなテクノロジーが襲来する際にはよくあることだが、 いたずらに使用される場合も出てくるだろう。しかし、インターネット同様に、それを乗り越え、有意義で、さらには人生を一変させるようなイノベーションを提供するものもある。デザイナーとデベロッパーは、ビジネスに使われる事例と顧客価値を見出す必要がある。そこに時間と成熟が加わることで、IoT は本当の意味で我々の生活の重要な一部分となるだろう。

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