プラスチックに限定されない、3D プリントに使われる材料

by Jeff Yoders
- 2018年9月19日
3d プリント 材料

アイスクリーム医薬品から臓器まで。3D プリントに使われる材料のリストは長くなり続け、いまや数千億円規模の材料競争へと拡大しつつある。

先日発表された 3D プリントに関する市場調査 (英文資料) によると、技術開発の加速により 3D プリント市場の価値は、2017 年の 69 億 8,000 万ドルから 2018 年末までに 120 億ドル (約7,800 億円から 1 兆 3,400 億円) へ拡大するとみられている。これは、3D プリンターで使われる材料が大幅に増加することを意味している。

3D プリントの材料の世界では、現在もプラスチックがひとり勝ちしている状況だ。SmarTech Markets Publishing の報告書 (英文) では、2019 年までにプラスチックの売上高のうち 14 億ドルを 3D プリントが占めると予測されている。これは、単なる「ありふれた」プラスチックの話ではない。業界はトウモロコシやダイズ油を原料とするバイオ レジンなど、奇抜で新しいアプローチに広く取り組んでいる。

だが 3D プリントの材料は、そこには留まらない。

plastic_3d_printing_materials

メタルマニア!?

プラスチックを追うのは、金属になるだろう。技術としては直接金属レーザー焼結法 (DMLS) が用いられるため、プラスチックを使用したプリントとは異なり、産業用の最終製品やプロトタイプの作成に使用できる。業務を合理化し、即座に組立可能な部品を製造するため、航空業界には早い段階から DMLS プリントを支持しており、既に購入したメーカーも存在する。また、一般市場向けにジュエリー製造用の DMLS プリンターも登場している。

金属を用いた 3D プリントの成長と人気の背後には、現時点では現場で大量生産のできない、より高性能の機械部品を製造、作成する可能性が秘められている。それにより現在は研究段階にある金属の電導率や引張強さといった属性が、鋼や銅などの「採鉱され精錬された」金属以上に向上することにつながるかもしれない。

航空業界では材料に関する問題の大部分に答えが出ており、部品を大量生産する方法が探求されている。GE Aviation は LEAP ジェットエンジン用の燃料噴射装置の 3D プリント製造を 2016 年に開始し、そのわずか 4 年後には製造数を年間 35,000 基に増加予定だ。これは業界でも過去最大規模にして、最も野心的なアディティブ マニュファクチャリング プロジェクトと言えるだろう。

グラフェン構造 3D プリント 材料
グラフェン構造

新たな台頭: グラファイトとグラフェン

グラファイトとニッケルの採鉱メーカーであるオーストラリアの上場企業 Kibaran Resources は、3D プリント メーカーの 3D Group とパートナーシップを結び、3D Graphtech Industries という名の研究開発ベンチャーの開発コストを共同で負担している。

このパートナーシップはグラファイトとグラフェンの 3D プリントを研究し、その特許化を目指している。グラフェンは炭素の純粋な構造で、ある研究所で 2004 年に初めて作られた。現在市場にある他の導体よりも電気の伝導性が優れており、物理的にも強く、分離が簡単で軽量だ。その性能は、現在最良の導体より数倍も優れている。研究機関で作成する必要があり、アディティブ マニュファクチャリングで実現可能な金属の大量生産がどのようなものかを知ることのできる、優れたケース スタディとなっている。

研究開発のための材料はタンザニアにある Kibaran の採鉱場から供給され、そこでは結晶化度が高く、炭素純度 99.9% のグラファイトが産出される。これはグラフェンの生産に最適だ。

グラフェンの大量生産には半導体業界も興味を示している。例えば IBM は、これを LED 照明に使用する手法を発見している (英文情報)。LED に使用するシート材料を 3D プリント可能になれば、照明の生産コストを大幅に削減可能になる。

3d_printer_plastic

炭素繊維: 鋼同様の強度を実現?

このグラファイトに関連して Markforged は、炭素繊維 (重合体を伸張させる酸化プロセスを経たもの) を一般的なプラスチックに加えることで、鋼のように強力だがアルミニウムほど使用が難しくない複合材料を作成できると述べている。同社の大型 3D プリンターは、より強度に優れた部品を、より素早く大幅に低コストでプリントするようデザインされたものだ。

スタートアップの Impossible Objects は、炭素繊維とガラス、ケブラー、繊維ガラスの研究を行っている。この企業のプリンターは、一般的にベアリング、ピストン部品、電線に使用される PEEK (ポリエーテルエーテルケトン) 熱可塑性ポリマーも扱うことができる。

こうした材料に対応する新たな 3D プリンターが必要?

リストに材料が追加されることは、ハードウェアへどのような影響を及ぼすだろう? 現在のところ、コンシューマー レベルで扱えるのはプラスチックが限界だ。例えば価格 899 ドルの Dremel 3D20 では、プリント材料はポリ乳酸 (PLA) 1 種類に限定されている。PLA は生分解性プラスチックで、コーンスターチなど再生可能な原料からできている。

DMLS に重点を置いたプリンターには 3DSystems ProX 300 やストラタシス製の数モデルなどがあるが、そのコストは現在のところ、1 台あたり 1 万ドル (約 110 万円) 以上となっている。DMLS プリンターで使用するパウダーや金属はプラスチックに比べて融点が高く、かなりの高温に達するからだ。堅牢な筐体とパワフルな産業用熔解ツールが必要になり、コストは大幅に上がる。

金属 3D プリント サービスを提供している3D プリンター メーカーは多いが、プラスチック 3D プリントのコスト低下に一役買ってきた「規模の経済」が DMLS 市場に影響を与えるようになるには、もう少し時間がかかるだろう。グラファイト/炭素繊維を使用する 3D プリント システムは、ようやく市場で勢いを増し始めたところだ。

各産業界が模索している 3D プリントの用途の多様性は、エキサイティングだが波乱に満ちた時代を生み出す。ジェットエンジン用部品から照明まで、これらの新たな (そして従来からの) 材料は、産業界のプリント手法とその対象に、さらに多くの可能性を提供することになるだろう。

本記事は、2014 年 11 月に掲出された原稿を更新したものです。

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