建設業界に到来した、新世代の女性をインスパイアすべきとき

by Elizabeth Rosselle
- 2018年1月25日
建設業 女性
長年男性が支配的だった建築業界で、大きな変化が進行中だ [提供: Miron Construction]

建設業界の歴史は、恐らくは石が原始的なハンマーの役割を果たしていた石器時代まで遡る。硬い石がそれより柔らかい石を割るのに用いられ、鍛冶技術が登場すると金属製の釘が出現して、モノが構築されるようになった。それから 200 万年ほどしてハンマーの柄が発明される。その後に鋳造、鉄細工、産業革命と続き、私たちの知る現在の建設業が誕生するわけだが、その大半は依然として男性中心の産業に留まっている。

建設業界は、いまだヘルメットを被った汗まみれの男性というイメージを連想させるが、男性だけに立ち入りを許される場所という見方は急速に衰えつつある。この傾向は今後も続くだろう。建設業界の男女格差はいまも存続しているが、大きな変化が起きている。

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Miron の Build Like a Girl プログラムは、仮設現場での実地体験可能なプロジェクトを通じて、若い女性たちに建設業界の仕事がどのようなものなのかを体験するよう働き掛けるものだ [提供: Miron Construction]

Miron Construction における改善の取り組み

1918 年に設立され、創業 100 年を迎える米ウィスコンシンの Miron Construction は、この大転換の最先端にいる。同社は、業界が熟練技術労働者の労働力不足を克服できるよう、より若い世代の作業員、特に女性の参入を奨励。また建設業界の未来を多様性豊かなものとする技術革新にも、最大限の努力を行っている。

Miron は、一般的な採用への取り組みには飽き飽きして、より多くの女性をこの分野に取り込むための何かを行いたいと考えた。現在、米国の建設業界に従事する女性の割合は約 9% (英文ブログ) で、その大多数が事務職に就いている (建設関連の専門職に就いている女性の割合はわずか 1.2% だ)。このギャップに対処するため、Miron は Build Like a Girl と名付けた、年 1 回開催のコミュニティ イベントをスタートさせた。このイベントは女子中高生に、建設業が男子だけを対象としたものではないことを示すものだ。

Build Like a Girl は、実地体験可能な仮設現場でのプロジェクトを通じて、若い女性たちが袖をまくり、建設業界の仕事を体験するよう働き掛ける。さらに、Miron は Miller Electric、Talent Collaborative of the Fox Cities と提携して、2017 年秋に Smart Girls Rock! を主催。これは、女子高生に STEM 関連のキャリアを紹介するイベントだ。パートナー各社は、建設業界がアナログからデジタルへ転換している今こそ、若い女性が STEM ベースのキャリアの選択肢として建設業界へ触れる、絶妙なタイミングだと考えたのだ。

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Build Like a Girl 参加者に建設技術について説明する Miron のバーチャル コンストラクション スペシャリスト、メリッサ・シュルタイス氏 [提供: Miron Construction]

「Build Like a Girl」の背景

LEED グリーンアソシエイト資格を取得している Miron のトーニャ・ディットマン氏によれば、同社はより多様な人材の採用に興味を持っているという。Miron は、全人口の半分を占める女性に、建設業界への参加を呼びかけたいと考えている。

「ジェン・バウアー (Miron のマーケティング ディレクター) と現場作業担当の弊社副社長は、様々な実践的アクティビティを提供するイベントの開催に強い関心を持っています」と、ディットマン氏。「この Build Like a Girl で重要なのは、建設業界の業務内容を女子に伝え、興味を育むことでした。一方、Smart Girls Rock! は STEM (科学、テクノロジー、エンジニアリング、数学) 関連のより幅広いキャリアに参加するよう女子高校生に働き掛けるもので、情報を提供し、知識を共有し合うことが目的です」。

どちらのイベントも、参加者に大きな影響を与えた。Smart Girls Rock! では、女子高校生たちが非常に熱心にイベントに取り組みました」と、ディットマン氏。「Miron のバーチャル コンストラクション スペシャリストであるメリッサ・シュルタイスが、建設業界におけるテック関連のキャリアを紹介しました。10 年前には存在しなかった職種です。女子高生たちは、その日のうちに協調して作業を行うようになり、「溶接が気に入るなんて思いもしなかった」と述べ、「もっとこの技術について学びたい」と話しながら帰っていったのです。単に「ああ、楽しかった」というだけではなく、「家に帰ったらまた実際に試してみたい」という感想を残しました」。

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VPI は、3D バーチャル ビル、システム、設備モデル、レーザー スキャニング、レーザー照準といった技術を組み合わせたもので、施工会社からエンジニア、事業主まで、建設チーム全体が 1 つのプロジェクトでリアルタイムに連携できる [提供: Miron Construction]

技術革新が促進する多様性、そして採算性

新しいテクノロジーは建設業界へ、その性別を問わず若い世代を引き寄せる「人参」だ。Miron では、収益にも恩恵がもたらされている。建設プロセスを合理化し、判断を誤った設置によるコスト超過や設備故障といった問題を緩和できるよう、Miron は「Virtual Process Integration」 (バーチャル プロセス インテグレーション、VPI) と呼ばれる手法を開発した。

VPI は、3D バーチャル ビル、システム、設備モデル、レーザー スキャニング、レーザー照準などの技術を組み合わせたものだ。VPI を通して、施工会社からエンジニア、事業主まで、建設チーム全体が同じプロジェクトでリアルタイムに連携できる。これによってプロジェクトの要所の全体像が把握でき、全てを着工前に確認可能。その結果として、Miron はクライアントに生じるダウンタイムと収益低下を防ぐことができる。

VPI は、製紙業界各社など、巨大で複雑なマシンを使用するクライアントにとって非常に有益なものだと立証されている。生産スピードの低下を防ぐため、これらのマシンは素早く能率的に構築、統合される必要がある。例えば 1 分間に 1,800 ユニットを生産するクライアントの工場の場合、設備交換によるダウンタイムを最小限に抑えることは極めて重要だ。別のクライアントの場合、Miron は、6 日間をかける設置の準備に、約 8 カ月を費やした。この努力は功を奏し、この企業はプロジェクト完了後わずか数時間で、売れ線である製品の生産を再開できた。

この種の困難なプロジェクトを成功させるにはイノベーティブな技術が必要となるが、そうしたテクノロジーは、より若い世代の労働者にとっては非常に魅力的だ。Miron は工業、製造業のクライアントに対しては、リアリティ キャプチャ を使用してレーザー スキャンから点群データを作成している。これは、プロセスをスピードアップし、より正確な計算を行うのに役立つ。Miron バーチャル コンストラクション部門ディレクター、ダン・バイヤー氏は「私たちが扱うのは、2,000 万~ 1 億ドルの設備と、その周辺の建造物です」と話す。「これはプロセスであり、配置と正確性の理解が重要です。全ての設備が確実に正しい位置に配置されるよう、ベースラインを定義することです」。

これは、全てが完璧に、かつスケジュール通りに設置されなければならないことを意味する。「何かが適合しない、設置業者が正しい順序で作業を行わないなどの理由で納期が遅れた場合も、設備が製品を生産できない場合の損失に比べれば、私たちの作業にかかるコストは微々たるものです」と、ディットマン氏は話す。

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Ci ラボは、巨大な壁掛け式スクリーンを使用してチームがさまざまなプラットフォーム上で連携できる、インタラクティブなワークスペース [提供: Miron Construction] 

新世代に対する新たなコラボレーション モデル

若い男女の今後の労働人口にとって、魅力的かつ技術的にも目を引くもうひとつの呼び物が、Miron のコンストラクション イノベーション (Ci) ラボだ。Ci ラボは、巨大な壁掛け式 iPad のようなスクリーンを使い、建設プロジェクトチームがさまざまなプラットフォーム上で誰でも連携できる、インタラクティブなワークスペースだ。

「この環境は、建造物がどう構築されるのかを、オーナーに情報提供する場となっています」と、バイヤー氏。「このスペースのユニークな点は、スクリーンに多数の情報を表示させ、それらの情報に触れ、より迅速に決定を行うことができる点です。従来も、2D の建物見取り図が使われていた場合に、それをモデルの 3D 表示へ切り替えることはできたかもしれません。でもこの空間では、そうした情報全てを、スクリーン上に同時に表示させられるのです」。

大規模な建設プロジェクトを成功させるには、デザイン事務所、施工会社、各部門担当が効率的に連携する手段が必要となる。Ci ラボは、到来しつつあるジェネレーション Z からもうすぐ定年となるベビーブーム世代までの関係者を引き合わせ、モデルを使用して互いに協力しすることで、より効果的な決定をもたらす。「このスクリーンは 32 タッチに対応しています。つまり、 32 本の指で同時にスクリーンに触れられるのです」と、ディットマン氏。「これによって複数の人による交流が可能となり、同時にコラボレーションへ参加できるようになります」。

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Miron は次世代の建設プロフェッショナルにインスピレーションを与えるため、テクノロジーとロールモデルの両方をうまく利用している [提供: Miron Construction]

仕事のステレオタイプを打破する

建設業界は、テクノロジーにより急速に進化を遂げつつある。今やナット、ボルト、ハンマー、足場だけの業界ではない。Miron Construction は、地域社会への参加と教育を通じて、女子の業界内の多様な機会の認知度を高めることで、若い女性にイノベーティブでやりがいのある何かに関わることが可能であることを示すという、自身の役割を果たそうとしている。オフィス内のバーチャル コンストラクションで作業して VPI プロセスを応用することも、(現場に持ち込んだモバイル デバイスで 3D モデルを検討しながら) 現場で実際に建設作業に取り組むことも可能なのだ。

業界内における選択肢は、事実上無限となった。もちろん、ヘルメットを被り、土を掘り起こす仕事をすることも可能だが、次世代の若いプロフェッショナルたちによって見出されるのを待っている、新しい 4 次元の世界がそこにはあるのだ。

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