大人はお断り! woom の軽量な子供専用自転車

by Kimberly Holland
- 2018年3月8日
woom bikes
クリスティアン・ベズデカ氏 (右) と woom 共同設立者マルクス・イーレンフェルト氏 [提供: woom]

出産を控えた夫婦が、小さな靴や洋服、おもちゃを買いに走り、自宅をいっぱいにしてしまうのは決して珍しいことではない。woom Bikes の共同設立者であるクリスティアン・ベズデカ氏も、妻が第 1 子を妊娠したと知ると、ある任務に取りかかった。それは、完璧な子供用自転車を探すことだ。

だが、彼は手ぶらで自宅へと戻るしかなかった。オーストリア出身のデザイナーである彼にとって、子供用自転車の選択肢は、決して素晴らしいとは思えないものばかりだったのだ。だが、それにくじけることなく、彼は自身の子供のための自転車の製作に取りかかる。

既に自転車業界でデザイナーとして活動していたものの、大人用自転車での経験とデザインを子供用自転車に変換するのは、子供のサイズと体型に合わせて縮小するだけの単純なものではなかった。「子供向けのプロダクト デザインは、大人向けより、はるかに難しいのです」と、ベズデカ氏。「それには、クリエイティブになる必要があります」。

サイズは重要

ベズデカ氏は数十年分の身体計測値を、定期的に更新されるデータベースとして所有していた。これは、成人用自転車の製作用だ。そこからデータを呼び出して平均的な成人の体格を理解し、それに適しているであろう自転車を推測できた。また、彼自身がプロトタイプを試乗することも可能だ。

だが子供用自転車には、そうしたデータベースは存在しない。「自転車開発をスタートするための、正しい情報を得ることだけでも大変でした」と、ベズデカ氏。「幾つかの情報ソースのデータを統合する必要がありました」。

また対象者の問題もあった。子供たちは、フィードバックを得やすい相手でも、そのフィードバックを信頼できる相手でもない。「嘘をついたり、偏ったフィードバックをしたりすることが多いのです」と、ベズデカ氏。「例えば、一番快適なサドルを選ぶよう頼んでも、座り心地ではなく好きな色のサドルを選んだりします」。

「また、どの車体が最も自分の体型に合っているかと尋ねると、見栄を張って自分には大きすぎる車体を選んだりするのです」と、ベズデカ氏は続ける。「大人用のモックアップやプロトタイプを製作する場合は、自分でテストして感触や機能を確認できますが、子供用の製品では、そうはできません。フォーカス グループを利用して、彼らが製品をどのように使用するのかを確認しなければなりません。子供たちに質問をするのでなく、観察しなければならないのです」。

選択肢を検討

ベズデカ氏は、生まれてくる子供のための自転車を探していた際に、子供用自転車には出来の悪いものが多く、心から楽しむことができないことに気付いた。車体は小さいのだが、子供の身体的特徴や能力への配慮に欠けているのだ。

「軽量構造であることは重要です」と、ベズデカ氏。「子供の体重と自転車の重量比を計算し、それを父親の体重に反映させてみると、大人が原動機付き自転車をこぐのと同じことだと分かります。これで子供にとって、自転車の軽さが大人の場合以上に重要な理由が理解できます」。

もちろん、金額の問題は避けられない。ベズデカ氏とビジネス パートナー兼共同設立者のマルコス・イーレンフェルト氏は、製品の成功には、コストと価格を抑えられるかどうかが重要なことを把握していた。「価格設定には、非常に強いプレッシャーがありました」と、ベズデカ氏。「子供向けの製品は、とても限定的な期間にのみ適合するものであり、その使用期間も短いため、手頃な価格であることが重要なのは当然理解できます。これがデザインと製造における、実現可能性の制約となります」。

だが、炭素繊維などの軽量な材料は安価ではなく、ただでさえ価格が懸念されるため、ベズデカ、イーレンフェルト両氏には創意工夫が要求された。ここでこそ、Autodesk Fusion 360 と 3D プリント、CNC ミリングマシンの出番だ。

「3D プリンター 4 台と 5 軸 CNC ミリングマシン 1 台を使い、プロトタイプ製作を迅速に行っています」と、ベズデカ氏。「すべての機械が 24 時間稼働しており、デザイン、プリント、再デザインを行います。デザイナーとして、できるだけ迅速にアイデアを具体化するよう心がけています。紙やコンピューター画面からリアルな 3D オブジェクトへ、素早く移行できるのは便利です。3D プリントにより、学習の進行はとにかく急勾配になります」。

woom bike parts
3D プリントにより woom は開発の初期段階でパーツのアイデアを検証可能 [提供: woom]

「パーツの強度を落とさず重量をそぎ落とすことと、静的・動的な力を加えてその効果を測定するリグ試験での CNC 部品の検証で、シミュレーションが重要な役割を果たしています」と、ベズデカ氏は続ける。「開発は試行錯誤のループで行われます」。

woom は、2013 年に最初の自転車を公開した。現在は 1 歳半から 14 歳向けに 6 種類の自転車を提供。どの自転車も、子供の各成長段階と、変化する体型や能力に合わせてデザインされている。

補助輪を排除

3D プリントと CNC ミリングにより、この自転車の 85% の部品は woom 専用に開発、製造されている。それによってベズデカ氏とイーレンフェルト氏は、競合他社製品の半分の重量で自転車を製作できた。例えば、最小モデル woom 1 の重量は、わずか 3.4 kg。最大モデルの woom 6 でも、その重量は 9.3 kg しかない。

また、補助輪は完全に排除されている。「補助輪は過去のものであり、自転車に乗る練習にはもう必要ありません」と、ベズデカ氏。「事実、新しい練習方法はずっと効果的で、子供たちにとってもより楽しく、またさらに素早く学べます」。キックバイクと呼ばれる woom 1 は、自転車からクランクとペダル、チェーンを取り除いている。「歩き始めからすぐ、 1 歳半から 2 歳で使用できます」と、ベズデカ氏。

幼児は、まずはキックバイクにまたがって歩き、操作の基本を学ぶ。しばらくして、より素早く動き回れるようになると、ときどき脚を上げて前に進むようになる。「こうしてバランスの取り方を学んでいきます」と、ベズデカ氏。「通常、こういった操作は 3 歳から 4 歳程度でスタートします」。

自転車をアップサイクル

スマートで直感的なデザインは、値段も張る。そして自転車は、子供用であれ大人用であれ、ある程度の出費を伴うものだ。子供はあっという間に自転車のサイズを追い越す点を考慮して、woom は使用済み自転車を新しい自転車に交換すると元の自転車の価格の 40 % が払い戻される、UpCycle プログラムを作った。

使用済み自転車は整備とクリーニングが施された後、地域の NGO や自転車練習所へ送られ、子供たちに自転車の乗り方を教えるのに使われる。

ベズデカ氏は woom の自転車が、1 人だけでなく複数の子供に使用されるようになることも願っている。「弊社の自転車は、兄弟や親戚に受け継がれています」と、ベズデカ氏。「数世代にわたって使用することができます。クラシックな外観を保ちつつ、品質をさらに向上させるよう努めています」。

「以前から、モダンでありながら自転車らしい自転車、決して古くさくならない自転車を作りたいと思っていました」と、ベズデカ氏は続ける。「美しく、長期間にわたって使用される製品というのが私たちのコンセプトのひとつであり、それこそが本当の持続可能性だと思います」。

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